【書評】『国富新論
[奪い合う経済]からの脱却』三橋貴明著
政府の目的は経世済民、すなわち国民全体の所得を増やすことであるはずだ。しかし「政府の目的を利益拡大(企業の目的)と勘違いしている政治家、官僚、経済学者はあまりにも多い」として、やみくもな財政健全化政策やグローバリズムを批判する。
いかにしてデフレを克服すべきか、「国境を超えた規制緩和」であるTPPにどう対処すべきか。公共インフラの規制を緩和して、発送電分離を導入していいのか。「労働者を貧しくする規制緩和は間違っている」との指摘は痛快だ。政治・経済にかかわる諸問題の解決策が浮かんでくる。(扶桑社・1470円)