備え欠かさず最前線の空を守る。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






【国民の自衛官 横顔】(8)空自第83航空隊(沖縄)


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航空自衛隊那覇基地から飛び立つF15戦闘機 =那覇市(同基地提供)



■備え欠かさず最前線の空守る

 「スクランブル。スクランブル」。ベル音とともに壁のライトが点滅を繰り返すと、4人のパイロットと整備員は「アラートパット」と呼ばれる待機所から脱兎(だっと)のごとく飛び出し、数分もたたないうちにF15戦闘機は空のかなたへ飛び立っていく。

 領空と防空識別圏に入った航空機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)は昨年度、22年ぶりに500回を突破した。増加の原因は中国機の飛来だ。昨年12月13日には中国機が尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近の領空を初侵犯。第204飛行隊は情勢が緊迫する南西諸島を受け持つ最前線の航空隊として、318回の緊急発進を遂行した。

 「1つの飛行隊としては突出して発進回数は多かった」と振り返るのは、当時航空隊司令だった航空総隊司令部防衛部長の増子豊空将補(50)。「緊張した日々が続いたが、全隊員が自らの任務を全うすることで乗り切れた」

前年度の倍近くに緊急発進が増える中、問われたのが戦闘機の稼働率維持。訓練も含め、計画通りに実施できたのは整備補給群の献身があればこそだ。昨年2月、米豪と実施した共同訓練では夜を徹した整備で稼働率は、ほぼ100%を維持。地味で過酷な作業を続け、戦闘機を最良の状態に保った。

 中国による挑発的な行動は海だけでなく、空でも拡大の一途をたどる。だが、平和な日本の空の守護神として、1150人の隊員は今日も備えを欠かさない。