琉球最大の木造建築で世界遺産にも登録。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130901/dms1309010728008-n1.htm
首里城
沖縄では城のことを「グスク」と呼ぶ。グスクは石垣を中心とした城郭であるが、本土の城とは大きく異なっている。沖縄の石材は石灰岩であり、加工が容易なため、これを切り出して、積み上げて城壁としていた。
グスクが初めて造られたのは、12世紀ごろ。沖縄本島のほか、先島(さきしま)諸島や宮古・八重(やえ)山群島、奄美大島も含め、およそ300のグスクが造られた。その中の代表格が首里城(那覇市)である。
首里城の基本的な縄張が完成したのは、尚真(しょうしん)王と、尚清(しょうせい)王の時代(1477~1555年)だ。東西約400メートル、南北200メートルの規模を誇り、内郭と外郭で構成され、城地全体を、厚さ4メートル、高さ6~11メートルの城壁で囲んでいた。
内郭は御庭(うーなー)を中心とした行政空間、南側に「京の内」という祭祀空間、東側に「御内原(おうちばら)」という居住空間があり、正殿(せいでん)、南殿、北殿などの建物が内郭に配されていた。
沖縄は琉球(りゅうきゅう)王国の支配下であったが、慶長14(1609)年、薩摩国(鹿児島県西部)の島津氏の侵攻を受ける。以後、琉球王国は、独立国家でありながら島津氏の支配下にあるという特殊な体制が明治維新まで続く。
首里城は王位争いや失火で3度焼失したが、そのたびに再建されてきた。しかし、明治に入り、琉球王国が廃されると、首里城は無人の城となる。城跡は国宝に指定されていたが、昭和20(1945)年の沖縄戦で城郭は破壊され 灰燼(かいじん)に帰す。
平成4(1992)年、正殿が再建されると、昭和33(1958)年に再建された守礼(しゅれい)門とともに、首里城のシンボルとなる。正殿は琉球最大の木造建築で、朱色の壁がまぶしい中国の宮殿風の建物となっている。平成12(2000)年、県内の他のグスクも含め、首里城は世界遺産に登録された。 =次回は高遠城
【所在地】沖縄県那覇市首里当蔵町3
【城地の種類】平山城
【交通アクセス】ゆうレールでは「儀保」駅・「首里」駅から徒歩約15分。バスでは那覇バスターミナルから約20分「首里城公園入口」下車、徒歩約5分
■濱口和久(はまぐち・かずひさ)
1968年、熊本県生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、栃木市首席政策監などを経て、現在、拓殖大学客員教授、国際地政学研究所研究員。日本の城郭についての論文多数。