概算要求
「離島防衛」「対外アピール」強化「尖閣シフト」鮮明
各府省が30日、財務省に提出した平成26年度予算概算要求では、中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での挑発激化に対処するためのメニューがそろった。防衛省は装備導入と部隊創設で離島防衛態勢を大幅に強化し、海上保安庁も巡視船や人員を増強。尖閣の領有権などをめぐる中国の不当な「宣伝戦」に対抗し、日本の主張を国際社会にアピールするための態勢構築も急ぐ。
防衛省要求額は平成25年度当初予算比2・9%増の4兆8928億円で2年連続の増。中でも離島防衛・奪還作戦に投入する「水陸両用機能」の強化が柱だ。
具体的には、専門部隊を集めた陸自中央即応集団の傘下に「水陸両用準備隊」を創設。25年度から導入する水陸両用車AAV7の運用研究などを通じ、離島奪還作戦のノウハウ蓄積と能力向上を急ぐ。米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの27年度導入を見据えた調査費を盛り込んだ。
空自は那覇基地に早期警戒機E2Cを運用する約140人規模の「飛行警戒監視隊」を新設。新たな早期警戒機の機種選定(400万円)や無人偵察機の導入検討も予算化、ともに27年度導入を目指す。
陸自の「初動担任部隊」の先島配備を視野に基本構想作成も本格化
先島諸島での拠点整備も加速させる。与那国島に沿岸監視部隊を配置するため庁舎建設工事費などを計上。陸自の「初動担任部隊」の先島配備を視野に基本構想作成も本格化させる。
海保も25年度当初予算比13%増の1963億円を計上。27年度末の尖閣警備専従部隊の創設を念頭に、巡視船を12隻(新造10隻、既存船改修2隻)増強する。これに伴い、昭和27年度以降では最大となる528人の人員増も目指す。
法務省は尖閣への渡航拠点である石垣島に公安調査庁の駐在官室を設置、中国の動向把握にあたらせる。