両陛下、軽井沢の夏ご満喫。思い出のコートでテニスも。
天皇、皇后両陛下は24日から静養に入り、長野県軽井沢町と群馬県草津町で穏やかな時間を過ごされた。まだまだ暑いこのシーズンに両陛下が静養されるのは、毎年の恒例。旧知の画家との再会を果たしたり、思い出の地でテニスをしたり、つかの間の休息を楽しまれたようだ。
前日から長野県を訪問していた両陛下は24日、松本市で、明治9年完成の擬洋風建築「旧開智学校」を視察後、軽井沢町に移動し、静養に入られた。翌25日には同県東御(とうみ)市で、幼少時に事故で両腕を失い、口で筆をとって描き続けてきた画家、水村喜一郎さん(67)と再会された。
両陛下の側近によると、お住まいの皇居・御所には、夕暮れの千葉県鴨川市の漁港を描いた水村さんの油絵「夕映えの鴨川漁港」が飾られているという。
ご交流のきっかけは30年以上前。両陛下が皇太子、同妃だった昭和56年、国際障害者年の記念芸術祭で水村さんの作品を鑑賞されたのが始まりだった。このときご覧になった「柿」という作品は小さな油絵だったが、両陛下は水村さんに、より大きな作品に取り組んでみては-と伝えられたという。そして完成したのが「夕映えの-」だった。
今年5月にオープンしたばかりの「水村喜一郎美術館」で水村さんにお会いになった両陛下。陛下は改めて「いい絵を描いてくれてありがとう」とおっしゃったという。
両陛下は27日には、軽井沢町の旧軽井沢地区にあるテニスコートでテニスをされた。このコートは、昭和32年8月に、お二人が初めて出会われた思い出の場所。ペアを組んだ両陛下は、アイコンタクトをとりながらプレーし、ショットが決まると笑顔をお見せになった。29日には群馬県草津町にご移動。皇后さまはピアノのレッスンを受けられ、お二人でコンサートも鑑賞された。31日にご帰京、東京では、またいつも通りに多くの公務に臨み、お忙しい日々を送られる。
栃木県那須町の那須御用邸付属邸でご静養中の皇太子ご一家。27日には、一時帰京した皇太子さまが、東京都江東区の芝浦工業大学豊洲キャンパスで「国際デザイン学会連合国際会議」開会式に臨席された。約40の国や地域からデザイン科学などの研究者らが集まる会議で、皇太子さまは英語でお言葉を述べられた。
展示会場では、「ヒゲの殿下」と親しまれ、昨年、薨去(こうきょ)した寛仁親王殿下が総裁を務められた「国際ユニヴァーサルデザイン協議会」のブースに立ち寄られた。そこには、寛仁さまが示されたという設立理念が、パネルに記載されていた。
「100%の障害者はいない。100%の健常者もいない。人間は皆、身体(又は精神)のどこかに障害部分を持っており、なおかつ健常なる部分をも合わせ持っている」
同協議会によると、それを見た皇太子さまは「その通りですね」と話されたという。
三笠宮妃百合子さまは25日にお住まいの宮邸で転倒し、26日に聖路加国際病院(東京都中央区)に入院された。左大腿骨頸部の骨折と診断され、28日に骨折部分を接合する手術を受けられた。現在も入院中だが、同病院によると、退院時にはご自分で歩けるまで回復される見通し。
ただ、退院まで1カ月程度かかるとみられ、骨が完治するまでには半年から1年かかるという。90歳というご年齢もあり、今後も経過を慎重に見守る必要があるという。
発熱のため今月9日から東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に入院していた桂宮さまは26日に退院し、お住まいの宮邸に戻られた。