まだ時間はあります。より多くの人が自ら一票を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









参院選きょう投票 「強い国」へ確かな選択を




■憲法改正への姿勢見極めたい

 参院選の投票日を迎えた。今世紀前半の日本の政治動向にもかかわる選挙の重みを感じながら、有権者は棄権することなく、投票所に足を運んでほしい。

 最大の注目点は、衆参のねじれが解消され、「政権の安定化」が図られるかどうかだ。忘れてならないのは、日本が繁栄と安全を確保していけるかどうかの岐路に立たされていることである。

 デフレから脱却して景気を回復軌道に乗せられるのか、中国が力ずくで奪取を図ろうとする尖閣諸島を守り抜けるのか。これがかなわなければ、国家再生を望むことは難しい。

 ≪日本の岐路を直視せよ≫

 安倍晋三首相が進めるアベノミクスの評価や憲法改正への取り組みなど各党は一定の方向性を示した。内外の危機を克服できるのはどの政党なのかを十二分に見極めることが求められる。

 どの程度の時間が割かれたかはともかく、最大の争点の一つは国民の間でも支持が拡大している憲法改正だった。

 自民党や日本維新の会は、憲法改正の発議要件を緩和するため96条改正を主張した。安倍首相は終盤戦で「憲法9条を改正し、(自衛隊の)存在と役割を明記していくのが正しい姿だ」と語った。

 与党の公明党が、自衛隊の存在や国際貢献を書き加えるなど「加憲」の立場から9条論議に応じる姿勢を示したのも注目点だ。

 民主党は「未来志向の憲法を構想する」との抽象論にとどまり、96条の先行改正に反対する一方、9条への明確な見解を示さなかった。共産党などは「平和憲法を守れ」と改正反対を主張した。

 とりわけ9条を変えなければならないのは、今の9条の下では自衛権が強く制約され、抑止力が働かないためだ。憲法改正を通じて「強い日本」を取り戻そうと腐心しているのは誰かも、重要な選択肢としなければならない。

 首相が大胆な金融緩和と機動的な財政出動、企業の投資を喚起する成長戦略を「三本の矢」として打ち出したアベノミクスに対する評価も大きな論点だった。

 与党は年率2%の物価上昇目標を掲げ、今年1~3月期の国内総生産(GDP)は個人消費を中心に年率換算で実質4・1%の高い伸びを示した。6月の日銀短観でも大企業の景況感が改善し、設備投資を増やす姿勢が示された。順調な滑り出しといえる。

 維新やみんなの党は、規制改革への大胆な取り組みなどアベノミクスの成長戦略の不十分さを指摘したが、民主党など多くの野党は、物価上昇や金利上昇などアベノミクスの「副作用」を批判し、安定雇用の確保や賃金の引き上げに重点を置く政策を提示した。雇用や賃上げにも企業収益の向上が不可欠だ。その道筋を明確に示せたといえるだろうか。

 ≪「一票」が政策を変える≫

 国民生活や産業に直結するエネルギー政策でも、自民党と野党との姿勢の違いが鮮明となった。自民党は、安全性を確保した原発の早期再稼働について、政府が地元の説得にあたるとした。

 民主党などは「脱原発」を進めるという。太陽光、風力など再生可能エネルギーの拡大を強調するが、原発の代替電源をどの程度確保できるかは不透明のままだ。

 火力発電の大幅増が電気料金の引き上げにつながり、中小企業などに重い負担を強いている。毎年夏と冬に節電を求められる状況も変わらず、電力の安定供給が果たされているとはいえない。資源の少ない日本にとっての原発の必要性について、改めて冷静に考えることが重要だ。

 先送りが許されない社会保障制度改革では、サービス抑制や負担増など有権者に不人気な政策について、与野党とも議論を逃げる姿勢が目立ったのは残念だ。政権当時に税と社会保障の一体改革を自民、公明と進めた民主党が「社会保障切り捨て」と抑制策の批判を始めたのは無責任だ。

 懸念されるのは低投票率だ。昨年暮れの衆院選は59・2%で過去最低となり、6月の東京都議選も43・5%と低迷した。選挙後には個々の有権者にとって恩恵を被るもの、新たな負担を迫られるものなど多くの政策が実施される。自分の投票で政治は変わらない、などという他人任せの態度では現状を変えることはできない。

 より多くの人が自ら一票を投じることを望みたい。


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投票棄権ほど無責任なものはない。