教科書検定制度の見直しを急ぐべき。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








問題教科書、都の不採択方針は正しい。




 来春から使用される高校教科書について、東京都教育委員会(都教委)が実教出版(東京)の日本史教科書の記述に問題があるとして「使用は適切でない」とする通知を出した。学校が希望しても8月の採択で「不採択」にすることもあり得るとしている。

 異例な判断だが、適切な教科書を生徒に渡すための正しい採択権の行使といえる。一部から「教育への介入」「二重検定」などの批判もあるが、いずれもあたらない。都教委の姿勢を他の道府県教委も見習ってほしい。

 問題になっているのは、検定合格した同社の1、2年生用の「高校日本史A」と「高校日本史B」の2冊だ。卒業式や入学式の国旗掲揚、国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述していた。

 名指しこそしていないが、東京都や大阪府などで行われてきた正常化に向けた指導を指すのは明らかで、批判的な意味合いが込められている。学習指導要領は国旗や国歌について、教師の責務としての指導義務を定めている。同社の記述は、教育的な配慮を欠くといわざるを得ない。

 見逃せないのは、こうした不適切な記述が検定段階で正されなかったことだ。

 他にも、南京事件の犠牲者数などについて、事実関係が曖昧でも出所や出典を示せば合格した例があった。慰安婦問題をめぐる自虐的な記述も十分に正されたとはいえない。
一方、自民党教育再生実行本部の「教科書検定の在り方特別部会」は安倍晋三首相に教科書検定の改善を図るための中間まとめを提出した。不確定な見解や学説は慎重に扱うよう求めている。

 中国や韓国に過度におもねる教科書記述の温床とされる「近隣諸国条項」の見直しなど、教科書検定基準の改善や、教科書法の制定なども提言している。

 近隣諸国条項は、昭和57年の旧文部省の検定で日本の中国「侵略」が「進出」に書き換えられたとするマスコミの誤報に端を発する。報道を受けた中国と韓国の抗議に当時の宮沢喜一官房長官が談話を出し、それに基づいて教科書検定基準に追加された。

 教科書の不適切な記述の是正は喫緊の課題だ。健全な歴史教育の実現に向け、安倍政権は教科書検定制度の見直しを急ぐべきだ。