【皇室ウイークリー】(285) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 


天皇、皇后両陛下の車列のお出迎えに集まった多くの人々=6月22日、京都市右京区




 天皇、皇后両陛下は22~25日、京都府と大阪府を訪問された。京都でのご宿泊先はこれまで、京都御苑内にある京都大宮御所だったが、耐震性に問題があることが判明。今回は同じ京都御苑内にあり外国の賓客をもてなす京都迎賓館に宿泊された。こうしたケースは戦後初めてだという。

 宮内庁によると、京都大宮御所の現在の御殿は幕末の慶応3年に完成した木造平屋。先の大戦中、京都御所では空襲による延焼に備え台所を撤去、宿泊機能を失ったことから、京都大宮御所が天皇、皇后、皇太子、皇太子妃の宿泊先となった。

 平成7年に起きた阪神・淡路大震災後の耐震診断では「良好」との結果だったが、東日本大震災後に改定された国の重要文化財診断指針をふまえ、昨年から構造計算も実施した結果、震度6強~7の大地震では倒壊の恐れがあると判定された。

 京都府の山田啓二知事によると、両陛下は初めて宿泊した京都迎賓館内を散策されたという。ただ、今回のご宿泊はあくまで一時的措置。ホテル使用も検討されているが、宮内庁は速やかに京都大宮御所の耐震工事を進める考えだ。同庁京都事務所によると、工事の詳細は決まっていないが、風岡典之長官は「両陛下がお使いになる部分を耐震改修する方法があれば、全体を一度にやらなくても安全確保できる」と述べた。

両陛下は京都市では、世界生物学的精神医学会国際会議開会式に臨席されるなどした。また、24日には京都府大山崎町で「日本初の環境共生住宅」といわれる近代建築「聴竹居(ちょうちくきょ)」も視察された。

 昭和3年に建築された和洋折衷の聴竹居には、土管を通じて風を室内に取り込む導気口など、環境を意識した工夫が凝らされている。施設関係者によると、皇后さまが導気口をのぞき込むように観察される場面もあったという。側近は「両陛下は以前から興味を持ってご覧になりたいということだった」と明かした。

 25日には、大阪府豊中市の大阪大学会館を訪問された。阪大の6代総長は、皇后さまの伯父に当たる正田建次郎さん。その研究、教育精神を紹介する大学関係者の話にも、両陛下は耳を傾けられた。

 帰京後の27日には、皇后さまの喜寿を祝う宮内庁職員による「奉祝茶会」が皇居・窓明館で開かれ、両陛下が臨席された。皇后さまは平成23年10月20日に77歳を迎えられていたが、東日本大震災や陛下の心臓のご手術などがあり、この時期の開催に。職員らのお祝いの拍手に、皇后さまは笑顔で応えられていた。

27日の風岡長官の定例会見では、週刊誌報道をめぐり、病気療養中の皇太子妃雅子さまへの皇后さまのお気持ちが明かされた。

 週刊新潮6月20日号には、「皇后さまが『皇太子妃には将来、皇后の仕事はつとまらないでしょう』と漏らされた」などと掲載されたが、風岡長官は「皇后陛下は、皇太子妃殿下が記事で傷ついておられるのではないかと大変心配なさっている。記事にあるようなことはなかったことを、必要があればお伝えしたいというご意向はお持ちだとうかがっている」と述べた。

 皇太子ご夫妻は25日、お住まいの東宮御所で、帰国した青年海外協力隊員8人とお会いになった。小町恭士東宮大夫は28日の定例会見で「現地活動の成果などをお聞きになったようだ」と述べた。

 環境NGO「バードライフ・インターナショナル」世界大会などでカナダを訪問した高円宮妃久子さまは25日、ご帰国。三女の絢子さまも福祉の調査研究で同国を訪れていたが23日、帰国された。