元外務省 の田中均氏は北朝鮮のスパイと疑われて久しい。金正日 の側近と太いパイプを持ち、対北朝鮮政策を独断で押し進めたと云われるが、肝心のミスターX が誰なのか未だに分らぬ上、外交記録も紛失しているから謎だらけだ。明らかなのは、田中氏の姿勢が異常に北朝鮮 寄りであることだけだ。
例えば小泉・ブッシュ 時代の日米首脳会談で「北朝鮮 問題解決のために対話と圧力 が必要」との見解で一致したのに、田中局長は広報資料を勝手に改竄し「圧力」の文字を削除した。同行していた安倍官房長官(現、首相)が発表前に気付き、慌てて「圧力」を加筆修正をさせたから事無きを得たものの、へんな文書で日本政府が赤っ恥を書くところだった。
さらに凄いのが、この日米首脳会談の直前、田中局長はアーミテージ国務副長官など米政府の要人に対して、「北朝鮮 が提案している体制保証や相互不可侵条約を結んでくれ」と直談判したとの噂だ。仰天したアメリカ 側では、タナカは北朝鮮のスパイに違いない、本人自身がミスターX ではないか、と大騒ぎになった。
もちろんスパイと見抜いたのは同盟国だけではない。文書偽造を目の当たりにした安倍氏はじめ、保守政治家は田中氏の異様な行動や発言を問題視した。例えば、かって拉致議連の顧問だった故中川昭一 氏は、田中局長が「大臣、北朝鮮 のような小さな問題ではなく、もっと大きな事に関心をもってくださいよ」と暴言を吐いた際、即座にこの男をこう怒鳴りつけた。
「北朝鮮 による拉致で、子供や家族が26年間(当時)も帰ってこない人達がいる。それでも小さい問題か!あなたみたいに、北朝鮮のスパイのような真似をするから駄目なのだ!」
真似じゃねえよ、ホンモノのスパイだよ、と田中氏が心の中でつぶやいたかどうか知らないが、本人は退官後も、東京大学の特認教授を務め、メディアにも登場して得々北朝鮮 問題を語る。このお気楽さがまさに日本の真骨頂なんだろうが、スパイ罪や国家反逆罪がない以上、どう仕様もないか。溜め息の出る話だ。