習体制、抗争激化!出身派閥から痛烈批判。
「第2の天安門事件」も…。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130626/frn1306261811004-n1.htm
中国に君臨する習近平・国家主席の求心力に疑問符が。支持基盤・太子党からの批判は、再び「天安門事件」につながりかねない(ロイター)
沖縄県・尖閣諸島の奪取を狙い、対日強硬路線をとる中国が揺れている。社会主義国家への回帰を急速に進める習近平・国家主席の政治姿勢を出身派閥「太子党」の実力者が痛烈に批判し、習氏の求心力に陰りが見え始めた。中国共産党内部では権力闘争が激化し、金融機関の破綻懸念で中国株が暴落するなど成長を維持してきた経済にも黄色信号がともる。専門家は「政権の足下がぐらつけば、民衆が暴発しかねない」と指摘、第2の天安門事件を危険視する。
中国経済のきしむ音が大きくなってきた。年率10%以上の高金利をうたう「理財商品」。この無謀とも言える財テク商品を売って資金を集めてきた金融機関が、償還に行き詰まり、連鎖破綻が起きるのでは…との懸念が広がっている。中国株は連日暴落し、市場関係者からは「2008年のリーマン・ショック前と似ている」との声も挙がるほどだ。
そんななか、米国の中国語ウェブサイト「多維新聞網」に6月18日に載ったある記事が波紋を呼んでいる。
内容は、胡耀邦元総書記の三男で、改革開放を推し進めようとする「改革派」の実業家、胡徳華氏が習近平氏を批判したもの。改革派の雑誌「炎黄春秋」の内輪の会合(4月13日)での発言を基にしている。
それによると胡氏は、習氏の「ソ連崩壊はレーニンやスターリンらソ連共産党の歴史を全否定し、これに反対する一人の男児もいなくなったから起きた」との発言が、国内のネットで広がっていることにふれ、「ロシアのジュガーノフ共産党委員長でさえ、党が国家の政治権利と経済利益を独占していたことがソ連崩壊の原因だと指摘している」と批判した。
さらに「ソ連人民こそが腐敗・堕落した共産党政権を放棄したのであり、人民に(天安門事件のように)銃撃を浴びせなかったソ連の軍人は、果たして『男ではなかった』のか!」と指摘している。
習氏が「(●(=登におおざと)小平時代からの)改革・開放の30年をもって(毛沢東時代の)30年を否定することはできない」と述べたことについても、「毛時代後半の文革10年は劉少奇国家主席、彭徳懐国防相ら(革命・建国時代の功労者)に反革命の罪状を着せ、徹底的に否定した(死に追いやった)。なぜわれわれはこの文革を否定できないのか」と鋭く迫っている。
この記事はネットを介して世界に拡散し、大きな反響を呼んだ。
これほど注目を浴びたわけは、非難が習氏と極めて近い筋から出たものだったからだ。
『中国を動かす百人 習近平政権の重要人物一覧』(双葉社)の著書がある評論家の宮崎正弘氏は「習氏は、高級幹部の子弟が集まってできた派閥『太子党』の出身。習氏を攻撃した胡徳華氏も同じ『太子党』で、習氏の父・習仲勲元国務院副総理と胡氏の父・胡耀邦元総書記はともに改革派の盟友でもあった。つまり、それほど近い人物から公然と非難を受けたわけで、『太子党』内の分断を象徴している」と解説する。
習氏にとって頭が痛いのは、身内からの批判を黙殺できないことだ。
胡元総書記は1980年代の政変で失脚したが、その死が引き金となって、89年の天安門事件が発生した。民主化を求める民衆の間で、いまでも人気が高い。
長男の胡徳平氏も「太子党」改革派の領袖として存在感を保ち、「いまだに中国国内でかなり大きな発言力がある。特に知識階級に熱狂的な支持者がいる」(宮崎氏)という。
この「胡ファミリー」の元に、習氏に反発する太子党や民主化を求める勢力が糾合して組織化するような事態となれば、習政権にとって重大な事態で「第2の天安門事件が起きる危険さえある」(外交筋)という。
『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)の著書があるジャーナリストの富坂聰氏は「中国国内で習政権が急激に左傾化していることへの警戒感が異常に高まっている。今年初めには『ぜいたく禁止令』を出すなど、すでに抑圧的な社会主義国家への回帰ともとれる兆候が出ている。現状への不満は爆発寸前で、国内には不穏な空気が充満している」と話す。
こうした現状を反映してか、5月に国内線航空会社への爆破予告が3日連続で発生。6月7日には福建省アモイ市で人生を悲観した59歳の男がバスに放火し、47人が死亡する事件も起きた。
「習政権は、天安門事件が起きた記念日の6月4日に公安警察や人民解放軍を大量動員して警戒に当たった。政権は民衆蜂起を真剣に恐れている」(富坂氏)
習政権は現在、全国規模で反腐敗キャンペーンを展開している。経済問題を理由に多くの副省長、次官級幹部を失脚させているが、そのほとんどは、胡錦濤前国家主席や温家宝前首相の人脈につながる人物だった。その意趣返しなのか、習派と密接な関係にある江沢民グループに属する四川省文学芸術界連合会の郭永祥主席が重大な規律違反をしたとして、共産党の規律検査部門の取り調べを受けているという。
党内部の権力闘争も激しさを増す。大国の内部崩壊が始まったのか。