中国けん制効果も、シーレーン安定も期待。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130325/plt1303251539002-n1.htm
世界一の性能を誇る海自の救難飛行艇「US2」
安倍晋三政権が、海上自衛隊の救難飛行艇「US2」をインドに輸出する手続きに着手した。同機は航続距離が長いうえ、波の高い海でも着水できる世界一の性能を持ち、各国が羨望のまなざしで見てきた。日本にとっては、輸出による生産増で製造コストを下げられるだけでなく、インドとの関係強化などで、海洋覇権を狙う中国をけん制する狙いもありそうだ。
US2は離着水が可能な水陸両用機。同種機はカナダやロシアも製造しているが、日本のUS2は約4500キロの航続距離(カナダ機は約2400キロ、ロシア機は約3300キロ)を持ち、波高3メートルの外洋でも着水(カナダ機、ロシア機とも1メートル強)できる。
海難事故や災害時の救難活動だけでなく、US2は着水後15トンの水をくみ上げて飛び立つ一連の動きを数秒間でこなすことができるため、大規模火災での消火活動にも役立つとされる。
同機については、夕刊フジの連載「ニッポンの防衛産業」で、ジャーナリストの桜林美佐氏が3回にわたって取り上げている。2009年にフィリピンでの多国間訓練に参加して絶賛されたことや、製造元の「新明和工業」による民間転用プロジェクトも報じてきた。
インド政府は、US2を救難活動に加え、海賊対策にも活用することを検討。約3年前から日本政府に対し、「US2を購入したい」との意向を伝えてきていた。
防衛省は「US2は武器ではない」との立場だが、従来は自衛隊が運用する航空機として輸出はタブー視されてきた。安倍政権はタブーを取り払い、防衛産業の発展と防衛費の効率化を図る方針。
政府高官によると、タイやインドネシア、ブルネイなどもUS2導入に関心を示しているという。US2輸出を突破口に、各国と技術交流や共同訓練を活発化できれば、中東から日本に原油を運ぶ海上交通路(シーレーン)の安定にもつながるとみられる。