無法治国家。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








長崎県対馬市の観音寺などから昨年10月に盗まれた仏像2体が韓国で回収された事件で、韓国の地裁はうち1体の日本への返還を差し止める仮処分決定を出した。

 韓国の寺院が仏像は14世紀に同寺で作られたと主張し、「観音寺が像を正当に取得したことが訴訟で確定するまで日本に渡せない」との判断である。韓国仏教界から仏像が日本に渡った経緯の調査を求める声が出ていることも影響したとみられる。

 しかし、昨年10月の窃盗事件と数百年も前の像の由来の問題とでは、全く次元が違う。日本から盗まれた仏像は速やかに日本に返還すべきだ。その上で、像の制作者や持ち主がどう変わったかなどは学術的な調査研究にゆだねるのが法治国家の常識である。

 仏像は長崎県の文化財に指定されている。菅義偉官房長官が「外交ルートを通じて返還を求める」と述べたのは当然だ。韓国政府は文化財不法輸出入禁止条約と仮処分決定のどちらを優先させるか検討中とされるが当然、条約を履行して仏像を返すべきである。

 この事件では、国指定の重要文化財の仏像も被害にあった。今年1月末、首謀者の韓国人の男が仏像を売りさばこうとしていたとして文化財保護法違反容疑で、韓国の警察に拘束された。韓国当局の捜査は評価したい。

韓国の世論には、反日的な言動なら何でも許されるという風潮が一部にある。今回の韓国の司法判断には、こうした世論に迎合した面があることも否定できない。

 韓国の憲法裁判所は一昨年夏、元慰安婦の賠償請求権をめぐり政府が具体的な措置を講じてこなかったのは違憲との判断を示した。だが、請求権の問題は昭和40(1965)年の日韓基本条約の付属文書ですべて解決している。

 にもかかわらず、韓国政府はこの違憲判断を受け、日本に慰安婦問題をめぐる賠償請求協議の開始を求めたり、国連で慰安婦問題は「未解決だ」と主張したりして、問題を蒸し返した。

 今年初めには、ソウル高裁が靖国神社の門に放火した中国籍の男を「政治犯」と認定し、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく日本への身柄引き渡しを拒否する決定を出した。韓国政府は条約を守らず、男は中国に帰国した。

 韓国の裁判官には、国際法規の順守も求めたい。