肺がん、ぜんそく引き起こす恐れ。
「PM2・5」のPMは「Particulate・Mater」いう英語の略で、「粒子状の物質」を意味する。2・5は「直径2・5マイクロメートル以下(1マイクロは100万分の1)」を表し、大気中に漂う微粒子の中でもとりわけ極小な物質だ。
その小ささは、高機能ではない通常のマスクも通してしまうほど。肺の奥まで入りやすく、大量に吸い込むことで肺がん、ぜんそくなどの健康被害を引き起こす懸念が指摘されている。
環境省によると、主な発生源はボイラーや焼却炉といったすすや煙を発する工場や、自動車の排ガス。中国に限らずわが国でも発生しており、平成21年に国の環境基準(大気1立方メートル当たり1日平均で35マイクログラム以下)が定められた。
22年度の観測では、住宅地などの「一般大気汚染測定局」のうち、データが得られた34局中で11局しか基準値以下を達成できていない。幹線道路沿いにある「自動車排出ガス測定局」に至っては12局で1局のみ。環境省幹部は「中国からの影響だけでなく国内の問題もある」と話す。
石原伸晃環境相は8日の記者会見で「専門家の話では現在、環境基準を一時的に超えても、健康被害に直結することは考えにくいのではないか」と指摘。一方で、「黄砂が関東、東北地方まで来るような恒常的な事態を想定し、専門家に指針を策定していただく」と述べた。