雅子妃殿下“今年初”のお出まし。
譲位のオランダ女王と皇室の「絆」
関東東海花の展覧会をご覧になる秋篠宮ご夫妻=1日午前、東京都豊島区のサンシャインシティ文化会館(鴨川一也撮影)
宮内庁は1月31日、天皇、皇后両陛下が1月に受けた定期健康診断の結果について、「両陛下ともおおむねお健やかで、当面(公務の)ご日程の変更をお願いする必要がないことが判明した」と文書で発表した。発表は皇室医療のトップ、皇室医務主管名で行われた。
陛下は平成23年11月には気管支肺炎などのため、昨年2月には心臓検査、手術のため入院されており、今年の発表は国民を安堵(あんど)させる内容となったが、皇室医務主管はこの結果をもって過度に安心することは禁物であるとくぎも刺している。
陛下は「骨粗鬆症が進行」
陛下については平成15年に前立腺がんの手術を受けてから続けられているホルモン療法の影響と、高齢のため骨粗鬆(こつそしょう)症が進行しているとした。皇后さまについても持病の頸椎(けいつい)症性神経根症の進行がみられているとしたもので、ともに日常生活などでご負担がかかりすぎないよう配慮が必要とした。
検査では、昨年2月の心臓冠動脈バイパス手術後の胸水の経過などについても調べられたとみられるが、発表文では触れられていない。側近は「書いていないことは、『問題ない』という意味だととらえていいのではないか」と説明している。
孝明天皇が崩御した日にあたる1月30日には、皇居・皇霊殿で「孝明天皇例祭の儀」が行われ、陛下と皇太子さまが拝礼された。また、秋篠宮ご夫妻と常陸宮ご夫妻、高円宮妃久子さまと長女の承子さまも参列された。
頸椎への負担を考えた医師の助言をふまえ、皇后さまは今年はお出ましにならなかった。病気療養中の皇太子妃雅子さまもお出ましにならなかった。
雅子さま「興味深く」ご聴講
皇太子ご夫妻は1月31日、国際連合大学(東京都渋谷区)を訪れ、環境問題をめぐる国際会議「地球システムガバナンス東京会議2013」を聴講された。会議は、地球の生態系遷移に対処できる政治解決や新しい統治制度を追求するプロジェクトで行われており、研究者らが集まる国際会議。アジアで初めて、28~31日の日程で開催された。
宮内庁は今回のご夫妻の聴講を「私的」なお出ましと位置づけているが、公的な要素も強い。雅子さまが皇室関連の施設以外で活動されたことを宮内庁が公表したのは、今年になってから初めてとなった。
皇太子さまは午後2時前に国連大学に入り、聴講を始められた。雅子さまは約2時間後に合流し、1時間半ほどご滞在。「気候変動問題の将来に関する議論」を聴講された。
側近によると、雅子さまのお出ましは直前に決まったもので、非常に興味深そうな様子で聴講されていたという。終了後には、ご夫妻そろって車で国連大学を出られた。
皇太子ご夫妻の長女、敬宮(としのみや)愛子さまが通われる学習院初等科のクラスは、インフルエンザの欠席者が増えたため先週金曜日まで学級閉鎖となっていたが、宮内庁によると、今週月曜日の1月28日から再開された。愛子さまは元気に通学されているという。
オランダ、3代連続の生前譲位に
今週はオランダのベアトリックス女王(74)が退位を表明、第7代国王にウィレム・アレキサンダー皇太子(45)が即位するというニュースが世界に流れた。70歳前後での生前譲位はオランダでは慣例となっており、3代連続となった。
ベアトリックス女王の前が母のユリアナ女王、その前はその母のウィルヘルミナ女王で、男性の即位はウィルヘルミナ女王の父、ウィレム3世以来4代ぶり、123年ぶりとなる。秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまは平成18年に「41年ぶり」の皇室の男児として誕生されたが、アレキサンダー皇太子は、「100年ぶり」以上のオランダ王家の王子として誕生していた。
王室がある国は、皇室がある日本と近い関係にある国が多いといわれる。皇室とオランダ王室も長い時代に培われた絆が強いが、代表的なエピソードの1つは、平成18年8月にベアトリックス女王が皇太子ご夫妻と愛子さまを静養に招かれたことだろう。
静養は雅子さまの主治医の大野裕氏が「治療に役立つ」と勧めて実現したもので、大野氏も同行。ご一家はアペルドールンにある王室の離宮に約2週間滞在された。ご一家は王室所有の森林をドライブしたり、動物園でイグアナをご覧になったりされた。王室は静養に必要とされる「静かな環境」を全面的にバックアップしたのだ。
当時4歳だった愛子さまと、当時2歳だったアレキサンダー皇太子の長女のアマリア王女、1歳だった次女のアレクシア王女が、おそろいのような水色のワンピースを着てほほ笑むショットも残された。静養は現地メディアの関心も非常に高かったという。
譲位は4月下旬の予定で、これに合わせて世界各国の王室などから国家元首らが集まることが想定される。皇室からのご訪問は、あるかどうかも含めて白紙の段階だ。
両陛下の侍従職 情報管理の専門官を新設
1月29日に閣議決定された国の平成25年度予算案では皇室費60億7761万円も計上されたが、前年度比1・9%減となった。
このうち、両陛下と皇太子ご一家の日常の費用などに充てられる「内廷費」は前年度と同じ3億2400万円。皇室の公的なご活動や皇室用財産の維持・管理などに使われる「宮廷費」は、坂下門改修工事終了で皇室用財産修繕費などが減り、54億9284万円で同1・6%減となった。
一方、宮内庁運営に必要な人件費などとしては102億6346万円が計上されたが、同2・7%減だった。同庁でも国家公務員の削減が進められ、25年度の人員は前年度比7人減の1009人とされた。
ただ、必要と認められて新設・増員されたポストもある。宮内庁によると、秋篠宮ご夫妻のご公務が増えていることなどから、秋篠宮家の公務スケジュールなどを調整する宮務課の「宮務専門官」が1人増員され、2人とされた。
また、両陛下にお仕えする侍従職には、両陛下の過去のご活動の記録を整理する「情報管理専門官」が設置されることに。
宮内庁によると、東日本大震災以後、両陛下は節電のため、皇居・宮殿の大部屋を使わず、お住まいの御所で来訪者とお会いになることも増えているが、情報管理専門官は、こうした場合に過去のケースに照らし、適切な手順を検討するといった業務に当たることが想定されているという。
皇室を守る若き皇宮護衛官
1月31日には、皇宮警察の初任科第124期学生の卒業式が皇居内の皇宮警察学校で行われた。
同学校で10カ月間にわたって学び、皇宮護衛官として必要な警備技術や皇室についての教養を身につけた10人に卒業証書が授与され、皇宮警察の五十嵐邦雄本部長が「皇宮護衛官としての誇りと使命感を忘れず、自ら求めて学び訓練する姿勢を堅持していただきたい」と訓示した。10人は早速、皇居内の坂下、吹上護衛署などに配属され、皇室をお守りする任務に就いた。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮さまは1月31日、「ホテルグランパシフィック LE DAIBA」(港区)でテニスの大会「デビスカップ by BNPパリバ2013アジア/オセアニアゾーングループI 1回戦『日本対インドネシア』」の抽選式に臨席された。
秋篠宮ご夫妻、高円宮家の長女、承子さまと次女、典子さまは2月1日、サンシャインシティ文化会館(豊島区)で「第62回関東東海花の展覧会」を観覧された。
常陸宮ご夫妻は1月27、28日の日程で、岐阜県をご訪問。郡上市で行われた「常陸宮賜杯第63回中部日本スキー大会」開会式に臨席されるなどした。31日には、東京会館(千代田区)で日仏会館の平成25年新年会に臨まれた。
彬子さま退院後初のご公務
1月24日に退院した寛仁親王家の長女、彬子さまは31日、ロイヤルパークホテル(中央区)で日英協会年次晩餐会に臨席された。宮内庁によると、退院後、初めてのご公務という。
発熱や上腹部の痛みなどのため1月2日から20日間以上にわたって京都府立医科大付属病院に入院された彬子さまだが、体調が本調子に戻られてきたようだ。
高円宮妃久子さまは1月26日、典子さまと青山劇場(東京都渋谷区)で、客員教授を務める大阪芸術大学のミュージカル「氷山ルリの大航海」をご覧になった。27日には、三女の絢子さまともご覧になった。
同作品は、久子さま原作の絵本(絵・飛鳥童氏)を同大生が中心になって舞台化した。北極に誕生した氷山の「ルリ」が、数々の困難に立ち向かいながら南極へ向かって冒険するストーリーという。
久子さまは28日、ルクセンブルク大使館(千代田区)で、同国の画家、アラン・ジョンストンの作品展オープニングに臨席された。29日にはホテルニューオータニ東京(千代田区)で、いけばなインターナショナル東京支部新年昼食会に臨席された。
久子さまは1日、「第11回アジア太平洋蘭会議・蘭展-沖縄大会-」臨席のため、沖縄県をご訪問。糸満市でひめゆりの塔、国立沖縄戦没者墓苑を訪れ、供花された。
関東東海花の展覧会をご覧になる承子女王と典子女王=2月1日午前、東京都豊島区のサンシャインシティ文化会館(鴨川一也撮影)