安倍政権と拉致。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








 政府は、拉致問題対策本部を全閣僚が参加する態勢に組織強化することを閣議決定した。拉致問題の解決に、政府が一丸となって取り組もうとする安倍晋三政権の姿勢を評価したい。

 対策本部の初会合では、第1次安倍内閣が掲げた「全被害者の帰国」「安否不明者の真相究明」「実行犯の身柄引き渡し」の3つの基本方針を再確認しつつ、野党議員も参加する超党派の「政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会」の新設も決めた。

 野党では、日本維新の会の平沼赳夫拉致議連会長や自民党内閣で拉致問題担当相を務めた中山恭子氏らがいる。民主党「次の内閣」拉致問題担当の渡辺周氏らにも、参加を呼びかける予定だ。

 協議会は対策本部の外に置かれる。古屋圭司拉致問題担当相が議長を務め、情報交換や政策協議を行う方針とされる。

 拉致は日本人の命を危険にさらし、自由を奪い、日本の主権を侵害した北朝鮮の国家犯罪だ。その解決は国の最重要課題であると同時に、全国民の願いでもある。

 与野党が必要な情報を共有し、知恵を出し合うことは、早期解決への有意義な方法と思われる。

 政府はさらに、国連に拉致問題など北朝鮮の人権侵害の実態を調査する委員会を設けるよう提案することも検討している。

 現在、判明している拉致被害者の国籍は、日本や韓国をはじめ、フランス、イタリア、マレーシアなど12カ国に及ぶ。2004年、中国・雲南省で消息を絶った米国人留学生も北朝鮮工作員によって平壌に拉致された疑いが強まり、米国を加えた13カ国に増える可能性がある。

 国連に調査委が設置されれば、国際社会が拉致を北朝鮮の国家犯罪として認定することになり、北への有効な圧力となろう。ただ、それには、2月下旬から始まる人権理事会での決議採択が必要とされる。加盟国説得などのため、早い対応が求められる。

 安倍首相は対策本部の初会合で「私が最高責任者であるうちに問題を解決したい」と述べた。力強い決意表明と受け止めたい。

 北朝鮮は昨年12月の長距離弾道ミサイル発射に続いて、「高い水準の核実験」を行うと恫喝(どうかつ)している。北に対して、国際社会が連携して圧力を強める必要性がますます強まっている。