今も続く「親中派」のあしき伝統。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





 年末年始も寒い日が続いたせいか、歌手の岡本敦郎さんや建築家の大谷幸夫さんらが旅立たれ、訃報欄がやけに目立つ。中でも一目お会いしておけばよかった、と悔やまれてならないのは、近現代史研究家の鳥居民さんだ。

 ▼「正論」執筆メンバーとしてもおなじみだが、本名が「池田民」だとは知らなかった。経歴も「昭和4年、東京に生まれ、横浜に育つ」とだけしか公表されておらず、長年の版元に聞いても「ご自分のことは何もおっしゃらなかった」と言う。

 ▼学閥も国からの庇護(ひご)もない文字通り市井の歴史家だったが、著作に込めたメッセージは明快だ。昭和20年を元日から克明に追った『昭和二十年』(草思社)はついに未完に終わったが、読んでいて息苦しくなるほどあの時代が再現されている。

 ▼鳥居さんのもうひとつのライフワークが、中国研究だった。9年前に世に出た『「反日」で生きのびる中国』(同)は、日中衝突を予見したどころか、共産党の一党独裁を守るため江沢民時代の1994年に発布した「愛国主義教育実施綱要」に根源あり、と喝破した。

 ▼綱要は、「反日教育」強化を命じたものだが、小紙以外は無視した。鳥居さんは、綱要を黙殺した当時の河野洋平外相をはじめ外務省幹部、各新聞社の北京特派員らの実名を挙げ、「かれらはなにをしたのであろう」と厳しく問うた。

 ▼「親中派」のあしき伝統は今も続き、商社出身の丹羽宇一郎前駐中国大使は、中国の反日感情の原因を「中国人が日本に対して抱くある種のコンプレックス」(『文芸春秋』2月号)と書いた。中国でカネをもうけたい財界人は、まず鳥居本を読むべし。さもなくば、会社も国も危うくしかねない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130112/plc13011203110006-n1.htm