★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.12.25) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 







【第2部パネル・ディスカッション】どうしたら拉致問題が解決できるのか

櫻井 それでは第2部を始めます。これからは、ここにいらっしゃる皆さん方とともに、どうしたら具体的に拉致問題の解決を実現できるのか、そのために私たちはどんなことを知っていなければならないのかということを中心に議論を進めていきたいと思います。

 まず、脱北して韓国にいらした金聖●(キム・ソンミン、●=王へんに文)さんです。もう皆様方はご存知だと思いますが、自由北韓(北朝鮮)放送の代表です。そして洪◆(ホン・ヒョン、◆=榮の木を火に))先生もいらしています。桜美林大学客員教授、統一日報の論説委員で拉致問題には当初から関わってくださいました。

 そして杏林大学名誉教授の田久保忠衛さんです。国家基本問題研究所の副理事長でもあります。西岡さんはご紹介するまでもありません。

 まず金聖●さんから、最新の情報についてご報告をいただけたらと思います。では宜しくお願いいたします。

◆拉致問題を毎日北朝鮮に放送

金聖● お会いできて嬉しいです(拍手)。拉致問題を解決することができないでまた1年が過ぎてしまいましたが、皆様方と北朝鮮問題を話し合う席に呼んでいただいたことを光栄に存じます。

 まず私たち自由北韓放送が拉致問題について、どのような放送をしているのかを簡単に紹介します。毎日7分から10分、日本政府そして日本の拉致問題関係団体の放送をしています。

 日本政府が提供してくださっている拉致問題の意見広告を1日2回放送しています。土曜日と日曜日は30分間、拉致問題の関連の放送をしていますが、西岡先生が出演されています。

 アメリカの国務省が、韓国にある対北放送の支援をしていたんですが、来年300万ドルから20万ドルに減るという中でのことですが、私たち自由北韓放送は家族会、救う会、また日本政府や関係者の皆さんの支援を受けて放送を続けられていることを感謝します。


◆日本の原子炉をミサイルでみんな壊すことができると内部で講演

 まず発表に先立ち、おととい北朝鮮がミサイル発射をしましたが、それに関連する、我々が持っている北朝鮮内部の録音、2007年6月に我々が入手した労働党幹部の講演資料をお聞かせしたいと思います(朝鮮語の音声を流す)。

西岡 今日本の地名を言ったのを聞かれたと思いますが、翻訳します。

 我々はアメリカの本土、日本の本土、南朝鮮を同時に打撃することができるということだ。打撃する力があるのか。いくらでもある。アメリカの本土を打撃しようとすれば、1万3千キロ離れている。しかし衛星を打ったのだ。だから何回打撃しても余裕がある。

 日本のチョッパリ(日本人を見下した表現、豚の足、足袋や下駄を履くとひづめが二つある豚の足のように二つに分かれることから)たちを見ていろ。北海道、本州、九州、島じゃないのか。北海道から九州南端までの全域を打撃しようとすれば千5百キロあればすむ。率直に言って、我々は千5百キロ飛ぶロケットをトンネルの中で、どんどん、どんどん生産してるんだ。
(ここで<聴衆から>笑い声が起きました)

 そして日本のチョッパリたちの島は小さいが、原子力発電所がある。51か所もある。これを我々のロケット1発で原子力発電所1つを壊してしまえば、第二次世界大戦の時広島に落ちた原子爆弾の320倍の破裂が起きる。小さな日本の島の原子炉をみんな我々は壊すことができるんだ。

 想像してみてください。どれくらい破壊力があるのか。日本のチョッパリたちが補償をしないで、このようにひどいことを言っているのであれば、見ていなさい。地球上から日本という国を痕跡もなく、亡くしてしまうのだ。そのためにチョッパリたちは我々のミサイルを、ロケットを見て、あれこれ言っているのだ。

西岡 こういう講演を内部でしていた。その録音資料です。

金聖● 彼らは今年になって2回も発射実験をして強気に出ていますが、しかし実態としては、金正恩政権は崩壊に向かっています。そのような話をしたいと思います。


◆金正恩政権が崩れ始めている音が聞こえてくる

 昨年の12月に金正恩が最高司令官になったわけですが、この1年間を見ていますと、騒がしい出発の時期、そして混乱の過渡期、さらに不安定な定着期と分けられると思います。

 金正恩政権の1年間について、それを特徴づける様々なできごとがありましたが、まず私たちが注目したいのは、実は金正日の葬式の時に霊柩車を囲んで歩いていた8人の幹部たち、金正恩以外の7人の内、4人がこの間に粛清されて、今いないということです。

 残りの一人が金正恩、あと2人は金基南(キム・ギナム)と崔泰福(チェ・テボク)という80歳の老人です。ですから金正恩はこの1年、ミサイル発射などで騒がしかったんですが、しかし血の粛清の1年だったと見ています。

 李英鎬が空に上がってきた大きな星だとか言われましたが、みんないなくなってしまいました。我々が今覚えているのは、金正恩、そして張成沢(チャン・ソンテク)、それから崔竜海(チェ・ヨンヘ)の3人です。

 金正恩と張成沢は親戚関係です。そして崔竜海について少し考えてみたいと思います。崔竜海は金日成と一緒にパルチザン活動をした崔賢(チェ・ヒョン)前人民武力部長の息子で、そのこともあって青年同盟の委員長をしました。

 張成沢の側近だという話があります。張成沢が過去に中央党の副部長をやっていた時に彼の部下で、その後青年同盟の委員長になりましたが、色々な不正のために98年に平壌市の上下水道管理事務所の秘書に左遷されました。

 このような人物が昨年、突然、民間人であるにもかかわらず軍隊の大将になって、最高権力者になったわけです。彼の経歴を見ると、金日成時代、金正日時代、金正恩時代と、その政権の正統性のシンボルとして無理矢理最高位につけた人物だということが分かると思いますが、いつでも飛ばされる可能性があるということです。

 そう考えますと、今北朝鮮を動かしているのは、金正恩、張成沢、また金正恩のおばさんである金敬姫(キム・ギョンヒ、夫は張成沢)、この3人ということになります。そしてそれ以外の、大将になったり、上がってきた幹部たちは実は80年代に張成沢が第2人者として活動していた時に、彼の足元にも来ることができなかったような人物たちで、上がったり下がったりしているのです。

 ですから北朝鮮の今の権力は、金正恩が最高権力者だと言いますが、金正恩の周りに張成沢系の人物たちが囲んでいるということです。

 北朝鮮の内部と電話で色々話をしているんですが、内部の人たちもこのような北朝鮮の権力の構造についてよく知っています。張成沢は金正恩を支える立場にある、しかし金正恩政権が安定してくれば自分(張成沢)が一番最初に粛清される可能性がある、自分のことを一番警戒するだろう、と思っている。そのような権力争いがいつでも起き得ることが、北朝鮮の内部にいる人たちの見方です。

 9月に北朝鮮で報道されたんですが、こういう場面がありました。3人が遊園地に行った。そしてジェット・コースター、北朝鮮では高速列車と言いますが、金敬姫と金正恩が乗っていた。金敬姫は歳を取っていますし身体も悪いと言われていて、目が廻るような顔をしていた。金正恩は喜んでいた。それを張成沢は外
で、腕を組みながら見ていた。

 それを見て、「張成沢は、金敬姫に早く死んでもらいたいんだなあと、そして金正恩は自分をいつでも料理できると思っているんだなあ」と見えたという話が北の中で広がっています。

 長く話しましたが、北朝鮮の権力は今張成沢が握っているということ、そして金正恩は自分の権力を強くすればするほど張成沢が怖くなる。そこがまさに北朝鮮の今の権力の一番の矛盾点だということです。

 それから新しいこととして、金正恩は自分の妻、李雪主(リ・ソルジュ)を公開しました。また肉声で演説をしました。彼は変化のイメージを出そうとしてやったのかもしれませんが、北朝鮮の人間たちはそうは見ていません。

 演説のしかたも大変下手でした。北から見て、あんな下手な演説をする人はいません。ですから、金正日時代に作った偶像化システムを自ら今壊していると北朝鮮の中で評価されています。

 しかし、金正恩は人民たちを食べさせることができなければ、やはり金正日時代と違って、自分は偶像化されてないから自分に攻撃が来るだとうということが分かって、それで色んなことをやっています。

 その一つが対米を意識したミサイルであり、またもう一つは日本に対するいわゆる「遺骨外交」です。北では金正恩のことを、実は「あの若い野郎」と、内部で、自分たち同士では呼んでいます。そして金正日が死んだ時に、みんな幹部たちが金正日の回りに集まって、逆三角形のおかしな権力構造ができたのですが、それが崩れ始めている音が今聞こえてきています。

 そのような不安定な北朝鮮の政権に対しては、直接的な攻撃も必要ですし、迂回的な方法も必要だと思います。特に拉致問題を解決するためには様々な戦略が必要だと思います。

櫻井 どうもありがとうございました。内部の情報に詳しい金聖?さんのお話が参考になったと思います。では、洪?先生に最初の情報を加えながら分析をお願いしたいと思います(拍手)。


◆南北は今も戦争中

洪◆ 今日は韓国の政治状況を拉致問題と関連してということですが、来週の水曜日に韓国では新しい大統領が決まります。韓国では11人目の大統領になります。今の韓国は第6共和国と言っていますが、彼(李明博)は最後の大統領になると思います。そして第7共和国に移行することになると思います。

 第6共和国とは何かというと、フランス革命以降、フランスが第1共和国とか言いますが、そのように1987年に、韓国は9回目の憲法改正があり、その時大統領の直接選挙、任期を5年1期とする国の統治機構の根本が変わりましたので、そういう時は新しい共和国となります。

 今25年続いている第6共和国ですが、2015年には韓米連合軍司令部解体も決まっておりますし、北の色々な状況から見て、間違いなく次の大統領が憲法改正に踏み込まざるをえないと見ています。これはいやおうなしにそういう歴史的変化を迎えることになると思います。

 韓国と日本は、若い方々が歴史的なことをお互い分かっていないんです。日本は1945年、太平洋戦争が終って平和な時代が始まるんですが、韓国は1945年から戦争の時代に入ります。67年間ずっと戦争中ということです。

 よく、慣れが怖いという話があるんですが、みんなあまりにも長い時間に慣れていまして、今我々がどこに置かれているのか分かっていないのが問題です。67年間戦争中というのは日本の植民地時代の35年より2倍の期間になるんですが、67年前に韓半島の北には、ソ連が占領中に作ったスターリン体制の傀儡政権ができます。それが今まで続いています。

 つまり、世界中でソ連のスターリンが建てたスターリン体制の中で、残っているのは唯一平壌だけです。完全に封建王朝に戻りました。これは単純な悪性の変種としての独裁体制ではありません。

 例えば今年6月28日に、金正恩が新しい措置をとったという話が出ましたが、この内容を見ると、農民は収穫の7割を国に納め、3割を自分のものとするというものです。封建時代の韓半島で一番ひどい時でも5対5でした。今7対3です。歴史上これほどの搾取体制はないと思います。

◆韓国内の従北派

 今年の韓国の大統領選挙は、この北を解放の対象として捕えるのか、連帯の対象として捕えるのかという歴史的な分かれ目の選挙になります。野党の文在寅候補は、公約として低い段階の連邦制を打ち出しています。

 今、自由民主主義の法治国家が、野蛮的な封建制度と連邦制組むと。もう一つは南北の経済連合、北を延命させることを公約としています。つまり彼は、金大中、盧武鉉の路線。2000年の6.15宣言と、2007年の10.4宣言を継承するとしています。

 ここに本がありますが、先月出た本で、『逆賊』。これは何かというと、これまで韓国の10人の大統領の中で金大中、盧武鉉という二人の大統領が封印したもの、封印しようとした代表的な反逆行為を本として出しました。

 これは初めてのことではありません。盧武鉉の在任中に、韓国の愛国勢力が彼を反逆罪として検察に告発しました。彼が自殺したことで告発は中止になりましたが、これに対して、金大中、盧武鉉勢力は一切反論していません。

 つまりこれを認めていることです。だたこれをそのまま認めるわけにはいきませんから、彼らは、これがより大きな嘘とこれを塗りつぶす、覆いかぶせるという戦略に出ます。

 我々は最近「従北」と言いますが、北に従う勢力です。彼らが掌握するメディアによってこれは無視されています。この本の内容は今日は紹介しませんが、盧武鉉が金正日の前で何を言ったのか、彼らが封印しました。金大中が金正日と何を密約したのか、どういうことをやったのかがこの本に書かれています。内容の一部はネットに公開されています。

 ではこれがなぜ逆賊なのか。金大中、盧武鉉政権の時も、韓国の最高裁判所が利敵団体と判断した事件があります。いわば平壌との連邦制の統一運動をやる団体を、最高裁判所が利敵団体と厳しい有罪を言い渡したのです。それは大統領たちがやったもので、それを封印しようとしたということです。

 今回の大統領選挙の最初の流れは、ポピュリズムの福祉の拡大からで、さらに我々は北を解放すべきか、北の今の体制を温存させるのかを選択する方向に流れが変わっていきました。

 韓国の選挙戦は、特に第6共和国は、ソウルオリンピックの後に民衆化された。共和制の民主主義政治制度は、宣伝・煽動に非常にもろいのです。ヒットラーのナチスの時よりも今はだまされやすい構図です。

 韓国は冷戦を戦っているわけですが、韓国戦争はスターリン、毛沢東、キム・イルソンによって引き起こされたのに、ソ連邦が滅びるまでは、アメリカの陰謀だと彼らは言っていました。

 それから自由世界のたくさんの知識人やメディアがそれに同調しました。ソ連邦が滅びてから、やっと実はスターリン、毛沢東、キム・イルソンが引き起こしたと。こういう構図が韓国では続いているわけです。

 今、金大中、盧武鉉政権をどのような人が作ったのかというと、ソウルの私の友人の中にはこういう人がいます。彼は30代以上の写真が一枚もないのです。なぜないのか。ソウル大学に入って、革命戦士の道を選んだ時点ですべての写真を破棄するんです。自分の過去を消すんです。敵に追われないように。そして過去の自分を消すために。

 そういう活動をした人々が作ったのが金大中、盧武鉉政権でした。金大中は金正日の要請に応じて辛光洙を北に返しました。今韓国の野党の大統領候補は、その金大中の路線を継承すると言い出しています。


◆最初から拉致は戦争

 韓国では今有権者の中で30%くらいが、韓国の天安艦は北が爆沈させたという政府の調査結果を信じていないんです。恐ろしいことです。

 私はこう思います。拉致問題でこういう側面を今までまったく考えていなかったのです。病気の診断を間違うと治療は不可能です。肺炎を風邪だと診断したら、治療できません。

 最初から拉致は戦争でした。刑事事件ではありません。今も拉致を刑事事件として捉える方が多いです。私は、滅びるナチス帝国のアウシュヴィッツからユダヤ人でない人だけを救うという発想には反対です。アウシュヴィッツは解放されるべきで、その中で何人だけが救出されるというのは間違いだと思います。

 韓国は今、幸い、歴史的に北を解放する方向で、今回の選挙で25年ぶりに保守勢力が結集しました。そういう流れがあるということを報告して終ります(拍手)。


櫻井 どうもありがとうございます。実際今、韓国で政治がどのくらい左傾化しているかということ、実態を知ると大変恐ろしいものがあります。洪先生がおっしゃったことは、その一部なんです。

 隣国韓国が、本来日本と協同して、手を携えて拉致問題を解決したり、北朝鮮有事の問題に取組まなければならない時に、肝心の韓国でとんでもない政治の潮流が生まれてきているということに私たちは留意をしておく必要があると思います。

 次に田久保さん、北朝鮮が国際社会でどういう場所に置かれているのか、また肝心のアメリカはどのように考えているのかを話していただければと思います。


◆不法国家と北朝鮮と中国が密接に結びついている

田久保 私は朝鮮問題の専門家ではありませんが、国際情勢全般をやっていますので、その観点から少し申し上げたいと思います。

 拉致の問題は、アメリカも韓国も解決しなければならないと私は確信していますが、肝心のアメリカは、歴史的に見ますと戦後は朝鮮半島に対して冷淡であったと言えると思います。

 これは1950年1月に、アチソン国務長官がナショナル・プレスクラブの演説でアメリカの最前線から朝鮮半島を除いたんです。アリューシャンから日本列島、台湾からフィリピンまでと。その後に朝鮮戦争が起こります。

 これは直接の因果関係があるのかどうか、まだ証明されていないし、直接の関係はないというのが通説ですが、心理的に大変な関係があるだろうと思います。

 アメリカはオバマ政権、あるいはその前のブッシュ政権で何をしたかということを簡単に申し上げます。ブッシュは6か国協議の発案者です。2002年のアメリカは、1年前の9.11テロ事件で半ば発狂して、アフガニスタンに出兵し、イラクに出兵した。

 この年、朝鮮半島問題は1か国で解決するのは無理だとブッシュは判断した。そして江沢民夫妻をフロリダの別荘に招きます。そこでブッシュは、朝鮮半島の問題はあなたが議長になってやっていただきたいと言うんですね。

 私は江沢民は好きじゃないんですが、政治家としてはさすがだと思う。「それはやってもいいが、あなたがたは台湾に武器供与をするな」と言った。カウンターブローを出します。

 それから6か国協議の場で、北朝鮮の核開発をなんとかして阻止しなければならないと、話合いが始まったが、そこで気がついたのは6か国協議はあまり実がないのではないかということです。

 なぜか。これは北朝鮮を助けるための会合ではないか。中国は、食糧とエネルギー、最近は新型ミサイルを運び、しかも発射台になる車両まで提供している。これにアメリカが段々気づき始めた。

 我々はとかくアジアを右の目で見ているんですが、アメリカは中東も見ているんです。今はシリアあるいはイラン、パキスタン。パキスタンは決めつけちゃいけないかもしれませんが、どうも不法国家と北朝鮮と中国が密接に結びついているのではないかということです。


◆アメリカは軸足をアジアへ

 アメリカに初めてゆとりができたのは、中東、これは10年間で9.11事件のビン・ラディンを仕留めたことです。パキスタンで撃ち殺したわけです。これは世界中が、特にアメリカは一区切りがついたと思ったのです。

 その間の10年間に、実は北朝鮮にぴったりくっついている中国が、アジアで大きな勢力になってしまった。世界第2位の軍事力と経済力を持つに至った。これをどうするか、ということなんです。

 従って、1年経った後のオバマ政権は、中国に対して大変警戒的になってきました。とりわけ1年前からピボット(軸足)政策で、軸足を中東からアジアに、中国の周辺に置きだした。この中心は5本指で、韓国、日本、シンガポール、タイ、オーストラリアです。

 特にオーストラリアには、これは日本の普天間問題がうまくいかないので、重点を移し始めます。ダーウィンに海兵隊をローテーションで回します。また、インド洋に面したパースのオーストリア海軍基地、ここは(米海軍)欧州インド洋艦隊の寄港地ですが、インド洋におけるアメリカの大海軍基地、イギリスから租借しているディエゴ・ガルシア島、このリースが16年くらいに消えます。そのためパースへの寄港を増やそうとしている。そして全体として中国を見ているんです。

 中国は、尖閣では日本と対立している。南シナ海ではアセアン諸国と対立している。インドでは陸上と海洋をめぐって緊張感が漂っている。こういうものに対置した第1弾のピボット政策です。

 先月オバマは、第2弾、大統領に再選されてすぐですが、タイに行きました。5つの同盟国の内、今まで訪れていなかったタイに行き、そしてミャンマーに行った。またカンボジアに行った。これがどれだけ中国に対して恐ろしいことかというのは、これは北朝鮮にも関係があるのですが、ミャンマーが民主化されたんで
す。


◆中国が北朝鮮を保護

 民主化の条件に2つある。北朝鮮との関係をやめてくれ。これはクリントン国務長官が去年の12月に言っており、オバマも言った。そして政治犯を釈放せよ。ミャンマーが中国に付いている限りはだめだ。そして中国をひっぺがした。引き離したんです。今(中国に)くっついているのは、アジアでは北朝鮮だけじゃないですか。

 カンボジアは中国の脅迫を受けています。経済援助を受けているというけれども、あんまりアメリカをなめちゃいけないと思います。フンセン首相の長男はどこに行ったのですか。ニューヨーク市立大学です。これはアメリカの国務省、ペンタゴンのお金で卒業し、今副参謀長です。

 次男は、これはアメリカの金だと思いますが確証はありませんが、ドイツで戦略問題を研究し、三男はワシントンの国防大学で今勉強しています。これはアメリカのお金です。

 新聞記者は大包囲網などという言葉をよく使いますが、これは間違いないと思います。中ソ対立の時には通用した。経済もブロック経済だし。イデオロギーも対立していたから封じ込めた。

 ところが今の中国というのは、社会主義市場経済ですから、各国とも中国との関係が経済的に深まっています。従って包囲網を築けない。しかし経済以外のところで、国際的孤立化が着実に深まっているのではないかと思います。

 その中でもう一つアメリカが気づいたのはこういうことです。どうも北朝鮮とイランとシリアの価値観が民主主義国と違うのではないか。そして一番の親分が中国です。

 先ほど洪さんが、韓国の哨戒艇が北の潜水艦に撃沈されたと言いました。これはきちっとした調査、時間と精度が、これ以上の調査はないと思われるくらいきちっとやっています。これはどうして国連決議にならないんでしょうか。北朝鮮を非難する、北朝鮮という名前もないんです。ただ、安保理議長決議で、遠まわ
しに何かやったよと非難しただけです。

 今回のミサイルはどうでしょうか。中国は、遺憾の意は表明しました。しかし、「北朝鮮には宇宙空間を使用する権利がある」と。これはどうですか。本音は、遺憾とは言ったけれども、北朝鮮をバックアップしているんじゃないでしょうか。

 北朝鮮がこたえるのは、国連安保理決議なんです。15か国が決議を出すのは全会一致でなければならない。そこまでいかない場合は、議長声明を出す。その前に報道声明があります。これは一昨日でました。

 アメリカは何としてもライス国連大使、彼女はこの2、3日、ミサイル発射に対して烈火のごとく制裁措置と騒いでいるけれども、中国の反対で交渉はこれからです。おそらく天安艦みたいに、議長声明くらいでお茶をにごされるのではないか。

 国際政治全体を見ていますと、ニクソンの時のベトナム政策。ベトナムがくたばらないと思ったんです。アナロジーですが、北朝鮮はくたばらないと思っている。ところが、ニクソンは訪中した途端、中国と手を握った途端にもう万歳しちゃった。


◆腐敗する中国-早晩共産党のXデーが来る

 今北の国内で深刻な権力闘争が起こりつつあるということですが、中国にも同様の、これは権力闘争と言えるかどうかは分かりませんが、腐敗が起こっている。11月25日付けの『ニューヨークタイムズ』はすごいですよ。

 中国で一番清廉潔白と言われている温家宝一家の汚職。家族全員のカラー写真が出ています。天下の『ニューヨークタイムズ』がよた記事をかくはずがない。しかも3ページ使っています。お金がどういう風に家族の間で回ったかという相関図が出ています。これは『ニューヨークタイムズ』が社運を賭して誰を叩こう
としているのか。一つの国と戦おうとしているんです。

 日本の新聞もやってほしいけれども、一つの民間の新聞社が中国を叩こうとしている。ものすごい記事です。11月25日には、温家宝の腐敗が取り上げられ、ここでは全部裏を取っています。電話や書面で、「こういう記事を書くけど何かコメントは」と。

 11月25日の新聞では、名前は秘してくれとして、「自分は党の生活を20年間温家宝と一緒にやってきた。もし『ニューヨークタイムズ』がこれを腐敗というならば、中国の幹部で腐敗をしていない幹部はいないだろう」と言っています。

 そうすると許認可権限は政府が握る。首相には一番金が入る。こうなると北朝鮮と同じように、ピボット政策ではなくて、中国は早晩共産党のXデーが来るんじゃないかと思います。

 こういう全般の視野の中で、アメリカは北朝鮮を見ているんだということを申し上げたいと思います(拍手)。


◆北朝鮮が「追い込まれる」状況に

櫻井 大変ありがとうございました。いつも私たちはこの拉致の集会で言っていることですが、北朝鮮の後ろには中国がいる。拉致問題は、中国問題だということを世界はよく知っているわけです。日本で拉致問題を扱う時には、これは忘れてはならないことだと思います。

 田久保さんは大きな枠組みの中で北朝鮮問題を語ってくださいました。では、西岡さん、北朝鮮の最新情報も含めて、この拉致問題を一生懸命やってこられました。お話をうかがいたいと思います。

西岡 今日は大変意義深いお話がたくさん出たと思っています。家族会・救う会の救出戦略、これは毎回会議の時に言っていますが、大きくいって2つあります。交渉によって取戻すこと。それから混乱の事態に備えておくことです。

 第1の、交渉によって取戻す場合に、2つの条件があります。日本側が全員救出の体制を整えて交渉することです。もう1つは北朝鮮が交渉せざるをえない状況に追い込まれることです。

 この「追い込まれる」という点で国際情勢が関係してきます。実は過去に2回追い込まれました。1回目が金丸訪朝の時です。ソウルオリンピックが成功してなだれをうって、韓国に、中国、東ヨーロッパ、ソ連が近づいてきた時、彼らは日本に接近せざるをえなかったのです。

 ところが、日本は拉致問題を議題に出しませんでした。それで何も起きなかったんです。

 2回目が小泉訪朝です。小泉訪朝の時、今田久保先生からお話がありましたが、実はパキスタンがアメリカの側についてアフガニスタンとの戦争が始まったんです。

 そしてパキスタンに入った米軍は何をやったか。パキスタンは核開発をしているわけです。その技術がまさかアル・カイダに行ってないだろうなと、心配になって探したわけです。核拡散について調べたところ、北朝鮮とパキスタンの秘密の関係が明らかになったのです。

 北朝鮮がノドンミサイルをパキスタンに出し、パキスタンが濃縮ウラニウムの技術を北朝鮮に出していたということをブッシュ政権はつかんだんです。そして2002年1月の「悪の枢軸」演説になったわけです。

 テロとの戦争のターゲットが2つある。1つ目はテロリストをたたくことだけど、2つ目はテロ支援国家が大量破壊兵器を持つことを防ぐことだと。「戦争のターゲット」と言ったんですね。そのテロ支援国家の代表として、北朝鮮をイラン・イラクとともにあげました。

 北朝鮮が大量破壊兵器を持つことを防ぐことを戦争の目的だと公言したんです。そしてブッシュ政権はパキスタンから、北朝鮮がアメリカをだまして、アメリカから当時も50万トンの重油をただでもらい続けながら核開発をしていたという確実な証拠を握って、脅したわけです。

 金正日は震え上がって、田中均局長と秘密交渉を始めたんです。その時期にちょうどアメリカがパキスタンに入りました。

 大きな情勢として、向こうが怖がらなければ、何かちょこちょこ支援をしても、何も起きなかったんです。それ以前に米支援を2回やりました。加藤紘一さんが50万トンやった。河野洋平さんが60万トンやった。何も起きませんでした。

 小泉さんはゼロです。拉致問題を入口に置いて、拉致問題について被害者の消息が出ないと交渉しないと言ったのに、向こうは出しますと言った。なぜか。怖かったからです。じゃあ、もう一度怖がらすために何が必要なのかということを我々はずっと考えてきたわけです。


◆韓国が全体主義国家の側につくのか、自由民主主義の側につくのか

 しかしその時に大きな問題になったのが、私たちが運動を始める前は韓国が自由主義陣営の先頭に立って拉致問題でも戦っていたわけです。横田めぐみさんの拉致の情報は韓国から来たんです。しかし、一説によると日本の警察はその情報を引き出しの中に入れていて探さなかったという話もあります。違うという人もいますが。

 とにかく、一番情報を取ってくれたのは韓国です。しかし、その韓国が、我々が運動を始めた時に左翼政権に変わってしまった。さっき金賢姫さんがビデオで言っていました。横田めぐみさんのことを知ってました、と。めぐみさんが出てきた時言いたかったです、と。

 しかし、いじめられて、彼女はソウルに住めなくなって田舎に逃げているんです。夜逃げしたんです。実は早紀江さんが金賢姫さんに手紙を書きましたよね。確か99年に国民大集会に来てもらおうと思って。しかし届かなかったと彼女は言っていました。

 そういうことが起きる中で追い込むことができなくなったわけですが、今韓国が正常化して、初めて保守勢力が団結をしてきたという話を聞きました。もちろん選挙の結果は開けてみなければ分かりませんが、韓国が中国を中心とするイラン、シリア、北朝鮮という異常な全体主義国家の側につくのか、それとも価値観外交で自由民主主義の側につくのかという激しい争いが今選挙で決着がつこうとしています。

 北朝鮮としては、韓国から無条件の支援がもらえなくなるという状況に直面していますし、アメリカも今軸足をこちらに移してきています。2002年に起きたような彼らを追い込む状況ができつつあると思います。

 先ほど金聖●(王へんに文)さんも言いましたが、国内が不安定だから日本に手を出してきたわけです。「遺骨」という名目でしたが、日本に手を出してきた。今、北朝鮮の闇市の食糧価格は去年に比べて2倍に暴騰しています。大飢饉が起きる可能性が高いのです。

 そして金正恩の誕生日が1月に来ます。2月に金正日の誕生日、4月が金日成の誕生日、贈り物をしなければならない。しかしない。ミサイル発射だけでは国民は満足しません。日本に接近せざるをえない状況が、北朝鮮内部情勢、韓国情勢、そして国際情勢でもできつつあると見ています。

 もちろん、2番目のシナリオ、交渉で安全に取戻す以前に混乱が起きてしまい、取りにいかなければならい情勢が起きるかもしれない。実は2年前のこのセミナーで、韓国の国軍の専門家の人に来ていただきましたが、韓国軍は北朝鮮が混乱した時には、当然米軍と一緒に北進すると。その時に、不法に抑留されている外国人を解放することは、北進作戦計画の中に入っていると明言してくださいました。

 つまり我々は、価値観外交で、アメリカを中心として、韓国、日本、タイ、シンガポール、オーストラリアの側で、異質の中国、そしてその手先である金正恩政権とにらみ合っているわけです。その大きな状況の中で被害者を、安全に全員、どうやって取戻すのかというのが私たちに与えられた課題ですが、今日分かってきたことが一つあります。


◆「情報」で北朝鮮を追い込む

 北朝鮮を国際情勢で追い込むということが、先ほど言いましたように、交渉に応じさせる一つの要件ですが、もう一つ追い込めるカードが出てきた。それは情報です。金賢姫さんも、李英秀さんも言いましたが、なぜ2002年に5人しか返さなかったのか。秘密の暴露を恐れてるわけです。

 韓国に日本のパスポートを持って入っている固定工作員がいる可能性が今でもありますよね。辛光洙だけが捕まっています。そのことを拉致被害者は知っているわけです。めぐみさんも教えているわけですから。誰がいるのか知っているんです。

 現場に工作員がまだいる時に、その人を返したら俺たちはどうなるんだと作戦部などが反対するのは当り前なんです。しかし、韓国が正常化して、その人たちを全部捕まえることができれば、もう秘密の価値がなくなるんです。

 あるいは外国人拉致についても彼らは隠しているかもしれない。金賢姫さんがフランス人の写真のことを言いました。もう隠してもしょうがないんだよと、隠す価値をなくすためには秘密の暴露が必要です。そして田久保先生がおっしゃいましたが、腐敗なら北朝鮮は中国に負けていません。大変な腐敗です。お金があ
れば何でもできるということです。

 ですから先ほどの話のように、収容所の中にいて、お金があれば、幹部と手紙のやりとりをしている。彼がそれをやっていたわけです。私は最初信じられなかったのです。収容所というのは一番厳しいところだから。しかし、彼の口から張成沢の親戚だとか、朴ソンチョルとか名前がいっぱい出るわけです。みんな腐敗しているということです。

 そして拉致の情報も出始めています。さっき彼は、ハン・スネという名前を聞いたと言っていましたが、去年『朝鮮日報』が明らかにした「平壌市民210万人データ」の中には、ハン・ソンエという名前で、めぐみさんと誕生日が同じで、夫が金秀男(キム・ヨンナム)で、娘がウンギョンというデータが出てきています。大城(テソン)区域の居住になっていました。

 この210万人データは実は金聖●さんも入手していたんですが、また彼は見たんですが、彼は平壌に住んでいたから調べてみたら自分の隣に住んでいた人がその通りいるんです。本物なんです。

 国家保衛部が、政治警察ですが、作ったデータがUSBになって売りに出ているんです。私の所にも買いませんかと来て、買いました。それくらい腐敗しているんです。ですから真実を暴露するということを一方でやりながら、国際連帯をして価値観外交の側が圧力をかける中で、洪先生の言うことに私は反対はしていませんが、前哨戦として5人を取戻したように、第一歩として全員を取戻す交渉による解決の可能性があると思っています。

 大混乱が起きるのか、順番はよく分かりませんが、方向として価値観外交の側に立って圧力をかけていくということをすれば、我々の勝利の日は近いんじゃないかと、今日の話を聞いて思いました(拍手)。


下記は、東京連続集会70のご案内です。奮ってご参加ください。

■救出運動 - 今年の総括と今後の展望

 私たちは、今年を「勝負の年」としてきましたが、今年中の救出はできませんでした。しかし、被害者が助けを待っている以上、諦めることはできません。皆様のご協力で、1千万署名運動は既にあと40万筆弱までとなりました。北朝鮮を取り巻く環境は厳しくなっており、金正恩政権は追い込まれつつあります。日
本も、周辺国の政権も変化しました。「勝負の年」の延長戦をどう戦うのかを考えます。救う会西岡力会長、家族会飯塚繁雄さん、横田滋・早紀江さん夫妻、増元照明さん、本間勝さん、平野フミ子さん(予定)が参加します。

 1000万署名運動の今年最終の署名数も発表します。

日 時 平成24年12月27日(木)
    午後6時半~8時半 開場6時

場 所 文京区民センター3階3A(03-3814-6731)
    文京区本郷 4-15-14 春日町交差点前
    都営三田・大江戸線 春日駅徒歩2分
    地下鉄丸の内・南北線 後楽園駅徒歩5分
    JR 中央線 水道橋駅徒歩15分

参加費 1,000円(事前申込み不要)

主 催 救う会東京・救う会全国協議会

連絡先 救う会事務局03-3946-5780 FAX03-3946-5784
〒112-0013東京都文京区音羽1-17-11-905

以上、宜しくお願いいたします。



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■救う会全国協議会ニュース

発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 
http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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