拉致家族の思い「実績ある」高まる期待。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 


     安倍新政権への期待を語る拉致被害者、横田めぐみさんの父、滋さん(左)と母、早紀江さん

                                 =17日午前、川崎市川崎区(松岡朋枝撮影)




 東京・永田町の自民党本部で18日、安倍晋三総裁(58)はオバマ米大統領(51)からの電話を受けた。約10分間の電話会談。安倍氏は北朝鮮のミサイル発射について「緊密に連携していきたい」と話し、大統領も同じ認識を示したという。

 安倍氏は、ミサイル発射直後に対北制裁強化を口にしており、首相就任後に圧力を強めることが予想される。拉致被害者の家族会と支援組織「救う会」も「追加制裁がなされるなら、拉致問題も理由として明記すべきだ」と改めて要望しており、安倍氏の姿勢を支持していくという。

 「安倍さんは最初に総理になったとき、拉致担当大臣を設けたり、拉致問題対策本部をつくってくれた。実績があるので、期待している」。拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の父、滋さん(80)はこう評価する。

 北朝鮮の金正日総書記が拉致を認めた平成14年9月の日朝首脳会談にも官房副長官として同行した安倍氏は、家族らが最も信頼を寄せる政治家の一人だ。北朝鮮側に「拉致問題の解決なくして、日朝国交正常化はありえない」との姿勢を改めて示すとみられる。

 ただ、安倍氏が1回目の首相に就任した18年9月と比べると、家族らの高齢化は深刻化している。「一日も早く」との思いは一層強まっている。

 ミサイル発射に絡み、日朝政府間協議が延期されると、拉致被害者、田口八重子さん=同(22)=の兄で、家族会代表の飯塚繁雄さん(74)は北朝鮮の暴挙に怒りをあらわにする一方で、「交渉は継続してほしい」と複雑な心境を吐露した。

 北朝鮮への圧力を強めながら、交渉を前に進める-。新政権は難しいかじ取りを迫られる。


「のんきすぎる」


 日本海に面した鳥取県米子市。拉致被害者、松本京子さん=同(29)=の兄、孟(はじめ)さん(65)は子供のころ、「北朝鮮から変な人が来るよ」と教えられ、育ったという。工作船で領海を侵入し、わが国の領土に頻繁に不法上陸してきた北朝鮮工作員のことだ。その工作員らに妹は拉致され、35年たった今も安否不明の状態が続く。

 めぐみさんの母、早紀江さん(76)は「日本はのんきすぎる」と指摘し、こう続けた。

 「どこのうちでも夜寝るときは必ず鍵をかける。日本も周囲は海だから、いろんな形での守り方を考えないといけないといつも思っています」

 拉致という主権侵害を許してもなお、国防に対する意識が高まっているとはいえない。

 北朝鮮のミサイルは沖縄・先島(さきしま)諸島上空を通過した。13日には中国機が沖縄・尖閣諸島周辺を領空侵犯した。しかし、衆院選で国防の要といえる沖縄の米軍基地問題が主要争点化することはなかった。


重い「負の遺産」


 米軍普天間飛行場の移設問題では、民主党の鳩山由紀夫元首相(65)が当初「最低でも県外」と訴えていた“主張”をその後取り下げた。期待感をあおられた県民の政治への不信感は沸点に達し、今も続いている。

 那覇市の国吉まこもさん(34)は「選挙で争点にならなかったから、決着に向かうと考えるのは間違いだと思う。逆に地元との交渉の糸口をつかめない状態になっている。自民党はどうするつもりなのか」と話す。

 日米同盟を重視する安倍氏にとって、反基地感情の高まりは同盟を揺るがしかねない重要な問題だ。民主党の「負の遺産」が、重くのしかかる。