日銀法の趣旨に違反する日銀。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






【お金は知っている】14年もデフレを放置!

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20121130/ecn1211300711005-n1.htm






草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 


日銀が政府からの独立性を付与された現行日銀法が施行されたのは1998年4月。以来、今年9月までの174カ月間の「コア・コア消費者物価」(国際的なインフレ指数でエネルギーと食料品を除く)の前年比増減率をみると、プラスになった月はわずかに9つに過ぎない。

 それも、98年の夏までと2008年央の数カ月で、前者は97年の消費税率引き上げ、後者は国際商品の値上がりの余波をそれぞれ受けた、一過性の上昇に過ぎない。日銀は「独立」以来、物価下落を放置するデフレ容認路線を走り続けてきた。

 政界やメディアの多数派はいまだに日銀政策やデフレ問題に関心が薄い。脱デフレを最重視する自民党の安倍晋三総裁は日銀批判の声を荒らげているが、野田佳彦首相ら民主党幹部は「日銀の独立を守れ」と言い返し、日経新聞を含めメディアの多くも同調する。中央銀行独立至上主義は国民や国家を忘れている。

 デフレは私たちの生活を破壊する。税収を減らして国家財政を危機に陥れる。総合消費者物価は11年、97年比で3・3%下がったが、サラリーマン世帯の収入は15・8%少なくなった。この間、国内総生産(GDP)は1割減ったが、中国のそれは6倍と膨張し、経済規模で日本を抜き去って世界第2位となり中国国内では「小日本」の標語を掲げた暴徒が日本企業を襲い、日本製品不買運動を起こしている。韓国もまた、日本の国力衰退を侮るようになった。

 日銀政策を変えさせるヒントは日銀法そのものにある。同法第2条では日銀の役割について「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」とある。日銀に限らない。米欧をはじめ世界の中央銀行は物価安定のための政策を義務づけられている。中央銀行の政策が物価を左右するというのは、数世紀にわたって試行錯誤してきた経済学上の英知なのである。

 物価の継続的な下落であるデフレは「物価の不安定」であり、どの国でも「国民経済の健全な発展」を損なう。08年9月のリーマン・ショック後、米欧の中央銀行がデフレ防止に躍起となったのは、法律で定められた義務を遂行するためだ。デフレを14年以上もの間、放置してきた日銀は日銀法の趣旨に違反している可能性がある。

 そうだと断言できないのは、「物価の安定」の定義がなく、もっぱら日銀自身の解釈に委ねられているからだ。日銀は当初、物価上昇率ゼロ%台を理想としてきたが、今年2月になってようやく「1%のメド」を設定した。それでも達成義務にしていない。

 日銀に対し義務を遂行させるためには、インフレ目標を定めさせ、達成できない場合、日銀総裁を罷免するよう、日銀法を改正するしかない。法改正が実現するまでは、2~3%のインフレ目標を政府と日銀が共有する協定を結ぶ。日銀政策の転換と日銀法改正は超党派の、待ったなしの課題だ。

                      (産経新聞特別記者・田村秀男)