皇居・東御苑の無料ガイドツアーが好評。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121027/imp12102712000002-n1.htm
天守台から、香淳皇后の還暦を記念して建てられた音楽堂「桃華楽堂」(左)の説明をするガイドの男性
=皇居・東御苑(芦川雄大撮影)
刃傷事件で知られる、江戸城「松の大廊下跡」の説明をするガイド=皇居・東御苑(芦川雄大撮影)
皇居・東御苑(東京都千代田区)で、昨年始まった無料のガイドツアーが好評を博している。あまり知られていないが、園内には皇室に関連するエピソードがある植物が多く、天皇陛下が一般の人々に見せたいとの意向を示されたことから植樹されたものもある。ガイドでは一般的な見どころを紹介するだけではなく、そうした国民に対する皇室の方々の思いを伝えることを、最も重視しているという。
ガイドツアーは、宮内庁所管の公益財団法人「菊葉文化協会」が昨年4月に開始。園内をおおむね1時間半、1万歩かけて歩くという本格的な内容だ。江戸城の歴史や園内の植物、生き物などについて研修を受けた元教師、主婦などさまざまな立場の人が、それぞれの得意分野を生かしながらガイドを務める。
宮内庁によると、東御苑にある「果樹古品種園」は、「江戸城跡の東御苑に江戸時代の品種を植えれば、訪れる人々にとっても興味深いことではないか」という陛下のご意向をもとに平成21年に整備された。「竹林」「バラ園」も同様に、陛下のお考えで8年に造られた。
21年3月には両陛下がご結婚50年に当たり、見やすく、植物を傷めない名札を「入園者への贈り物」として私的費用を使って付けられている。
一方、昭和天皇の発意でできたものもある。失われつつあった武蔵野の雑木林を残そうと、昭和57年から徐々に造成された「二の丸雑木林」だ。
9月に行われたツアーのガイドを務めた戸村英正さん(77)は、江戸の歴史や建造物、東京スカイツリーが見える場所などを紹介しながら、こうした皇室ゆかりの場所を説明した。参加した千葉県柏市の60代女性の3人組は「何度も来ていたが、知らないことがたくさんあった。違う季節にまた参加したい」と話した。
ガイドは原則として、毎週水・土曜の午前10時半と午後1時20分から実施(年末年始、8月は休み)。大手門に近い「三の丸尚蔵館」わきの休憩所で参加者を募る。目立ったPRをしていないこともあり、数人の参加者にとどまる回もあるが、今年5月5日には1日で計149人がガイドを受けた。
菊葉文化協会は「東御苑は皇室と国民との絆。『一般の人に東御苑を楽しんでほしい』という皇室の方々の思いを、ガイドを通して伝えていきたい」と話している。
東御苑 皇居の東側に整備された約21ヘクタールの庭園。旧江戸城の本丸・二の丸・三の丸の一部地域に当たる。昭和43年から無料で一般公開されており、入園者は平成20年以降3年連続で90万人を超えたが、23年は東日本大震災の影響で約72万人にとどまった。両陛下がお住まいの御所がある吹上御苑は別地域。