世界に貢献する科学技術立国日本。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【解答乱麻】参院議員・山谷えり子 


草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 

【プロフィル】山谷えり子

 やまたに・えりこ サンケイリビング新聞編集長、首相補佐官(教育再生担当)など歴任。1男2女の母。



 山中伸弥京都大学教授のノーベル医学・生理学賞決定のニュースは心躍るものであった。

 臨床医としては手術も下手で「ジャマナカ」などと呼ばれ挫折を味わいながらも、医師になったからにはお役に立ちたいとの強い思いから研究医に転身し、皮膚などの体細胞からさまざまな細胞になりうるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り出したことや、恩師、研究仲間たちとの信頼関係、ライバルとの戦いなどノーベル賞への道のりのエピソードはマスコミで紹介され共感を呼んでいる。私も何度か直接お話をうかがう機会があったが、「人間万事塞翁(ばんじさいおう)が馬」を信条とする柔軟でユーモアセンスのある魅力的な方であった。

 日本の子供の理科離れが心配されているが、科学技術立国として理科教育の充実を図れば今後とも優秀な若者は続いてくれるに違いない。

 この4月から使用の中学校教科書は、実は6年前の安倍内閣の教育再生の基礎教育充実の方針に基づいて、頁数は数学で33%増、理科は45%増となった。小学校では実験の充実も図られ始めた。私自身の経験とわが子を育てた経験の比較でいえば、理科の実験や標本作りなど時間をかけて体験させる指導が今や悲しいほどに減っている。私の育った昭和30年代は、実験は失敗を繰り返して放課後も納得いくまでさせてもらえたし、夏休みの宿題には昆虫採集、押し花標本作りを皆、体験した。

先頃、東京大学の加藤泰浩教授の研究から、小笠原諸島、南鳥島周辺の排他的経済水域で「レアアース(希土類)泥」発見のニュースがあったが、その中で地質学者を志すきっかけが小学校の実験室で見た金色に輝く黄銅鉱の標本だったという話には思わず膝を打った。

 フランスの生化学者、細菌学者のパスツールは「科学に国境はないが、科学者には祖国がある」と言った。国境を超えて戦ってこそ日本らしい成果も上がるのではないだろうか。大学は海外から理数系の教授を広く採用し、日本の若手研究者の海外進出を並行して進め、競争力を維持する意識を強く持つべきだろう。

 平成22年に帰還した「はやぶさ」は世界で初めて月以外の天体からのサンプル回収に成功した。当初4年間の予定をはるかに超えて7年間という歳月の中で行方不明にもなったが諦めずに広大な宇宙からチーム力で探し出し帰還させたプロジェクトはまさに日本的であった。平成26年度打ち上げを目指している「はやぶさ2」の2年後までの必要予算260億円のうち今年度ついた予算は30億円で「やめろというに等しい」と悲鳴をあげる関係者もいるという。この打ち上げを逃すと軌道の関係上、打ち上げは10年後になるとされる。小惑星イトカワから帰還したカプセルは全国を回り89万人に感動を与えた。産業界はイノベーションの可能性を期待している。「はやぶさ2」を予算減で止めてはならない。

 科学技術立国日本の存在は世界の人々の健康や資源・エネルギー・食糧問題の解決に貢献していく。イノベーションとは科学技術の単なる革新でなく、社会・経済・文化的価値を相乗的に生んでいくものであり、日本はその発想、応用力において抜きんでている。

 自民党は安倍総裁のもと「教育再生実行本部」を設置、私は大学の強化と国際化の座長を務める。教育の質の向上と予算支援をしていきたい。