日銀の無責任政策。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






物価上昇率「0%台」の実害。200万人の雇用が消滅。


草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 





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日銀が30日に発表する物価展望リポートで、2014年度の消費者物価(生鮮食品除く)の上昇率の予測が前年度比0%台後半となる見通しと報じられた。世界経済の減速で国内景気の下ぶれが鮮明となっているためとし、同日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を検討すると伝わっている。

 日銀は2月14日にデフレ脱却の目標として1%のインフレ“メド”を掲げ、強力な金融緩和を進めると表明した。その後、4月27日、9月19日に金融緩和している。

 ただし、7月12日に日銀は2012年度の物価上昇率見通しを4月時点の0・3%から0・2%に引き下げ、13年度の見通しは0・7%に据え置いた。1%のインフレ“メド”の達成は14年度以降になるとのことである。

 この時点で、白川方明日銀総裁は、自らの任期期間中のデフレ脱却は諦めたといえる。

 そもそも物価展望リポートにおいて、政策委員の見通しがあるが、これが単なる「見通し」というのは部外者からみると違和感がある。具体的には実質GDP、国内企業物価指数、消費者物価指数(除く生鮮食品)の3つについて2年間くらいの各政策委員の見通しが書かれているが、少なくとも物価は日銀の責任なのだから、日銀自身が第三者的に「見通し」と言うのはおかしい。

 この点、日銀は、単に「評論家」や「経済アナリスト」ではなく、責任ある当事者なのだから、どのように取り運んでいくかという「意図」が感じられないとおかしい。

 しかし、2月の1%のインフレ“メド”という言葉でわかるように、日銀は「目標」とは決していわない。というのは達成できない場合に責任問題が生じるという、情けない理由だ。

 デフレ脱却できない理由として、日銀は「効果の波及には時間がかかる」と言うが、理由になっていない。どこの国でも波及に時間がかかるのは同じであるが、それをうまくやるのがプロである。

 金融緩和すると、半年から1年半くらいで効果が出てくる。これはタイムラグ(効果の遅れ)構造を入れたモデル分析をすればいい。こうしたラグは、金融政策のシミュレーションゲームでも使われている。もちろんゲームはラグ構造が単純なので、ちょっとコツをつかめば簡単にクリアできるが、舵を切ってもすぐに方向が変わらないのは船や飛行機の操縦でも同じで、だからこそプロが操縦するのだ。

 プロでない日銀がデフレを長引かせていることで、日本の国益をどのぐらい損ねているのか。日本だと、日銀法の目的に雇用の確保がないので、ピンとこないが、デフレの弊害で大きいのは雇用機会の喪失だろう。見かけの失業率は雇用調整助成金などで低いが、実質的には6~8%程度といわれる。そうだとすれば、雇用者数でいえば200万人程度の雇用が失われている。

 このため、生活保護者数が増加し社会問題化するなどの弊害もある。 

                 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)