【社説検証】女性宮家問題。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









産経は「男系維持に全力を」




■「創設の検討は妥当」と読売

 天皇陛下を支える皇族の減少を防ぐにはどうしたらいいか。政府が有識者から行ったヒアリングをもとに、女性皇族が結婚後も皇室にとどまれる「女性宮家」の創設を柱とした論点整理をまとめ、公表した。

 産経、朝日、読売、日経の4紙が社説で論じた。書き出しでは、産経と読売が対照的だ。

 読売は、女性宮家創設案の検討を進めるべきだと明記した論点整理を「妥当な内容」だと評価した。「政府が、本人の意思を尊重することを前提に女性宮家創設の検討を急ぐのは当然と言える」と強調している。

 産経は「女系天皇に繋(つな)がる懸念は依然、消えていない」と問題の本質に迫った。

 「日本の皇室は代々、男系の皇位継承が維持されてきた。その皇統の歴史を踏まえた男系維持にまず全力を尽くすべきだ。女性宮家が安易な女系天皇容認につながらないような配慮が必要である」

 論点整理は、女性宮家を天皇の女性の子、孫である内親王に限定し、創設は一代限りで▽女性皇族の配偶者や子供にも皇族の身分を付与する▽配偶者や子供には皇族の身分を付与しない-の2案を併記した内容だ。

 産経は、「男系男子による皇位継承」を定めた皇室典範の改正などで、女性宮家から女系天皇が生まれる可能性がある、と指摘する。

 7年前、小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が女性・女系天皇を認め、男女を問わず第1子(長子)の皇位継承を優先させる最終報告をまとめている。在京6紙の中でこれに疑義を呈したのは産経だけで、朝日・毎日・読売・日経・東京の5紙は有識者会議の結論を支持していた。

 ただ、産経以外の各紙の間でも安定した皇位の継承についての認識に微妙な違いがある。

日経は今回の論点整理が「意見が対立する一番デリケートな部分には踏み込んでいない。これからもっと議論を進めていく必要がある」としたうえで、「現在、陛下の孫の世代の継承者は6歳の悠仁さま1人。心配はなくなっていない」と問題提起した。

 朝日は逆に「悠仁さまが生まれ、皇位継承へのさし迫った不安はない」ととらえる。そして、「いま考えるべきは、皇室活動の内容や規模はいかにあるべきで、それを皇族方にどう担ってもらうのが適切かという問題だ」と論じた。

 論点整理の過程で、有識者の中に女系天皇を警戒する声があったことは朝日と読売が紹介している。そうした有識者が提示する、第二次大戦後に皇籍を離れた旧宮家につながる男子を養子にするなどして皇室の規模を維持すべきだとの意見に、朝日は異を唱えた。

 「多くの国民にすんなり受けいれられる考えとは思えない。旧宮家の誰を迎えいれるかなど難しい問題も多く、むしろ皇室と人々との距離をひろげることにならないか」

 産経は朝日とは逆に皇籍復帰には積極的に賛同する。野田佳彦首相が国会で検討する意向を表明したことをとらえ、「陛下のご負担軽減のためにも、旧宮家の皇籍復帰を含めた幅広い検討を改めて野田政権に求めたい」と論じた。

 論点整理が提起したさまざまな問題について、「前向きな幅広い議論を積み上げていく必要がある」(日経)のは確かだ。しかし、歴史と伝統を重視する大前提を忘れてはなるまい。(鳥海美朗)

■女性宮家問題についての社説

 産経

 ・女系天皇に繋げぬ配慮を(6日付)

 朝日

 ・国民の支えあってこそ(10日付)

 読売

 ・皇室活動の安定へ議論深めよ(6日付)

 日経

 ・皇室の将来幅広く議論を(7日付)