一日も早く戻れるといいですね。
福島県川内村で除染作業現場を視察される天皇、皇后両陛下
=13日午後、福島県川内村(古厩正樹撮影)
天皇、皇后両陛下は13日、福島第1原発に近い福島県川内村を訪問し、除染作業の様子を視察された。同村は一部が原発から20キロ圏内の旧警戒区域に含まれたことなどから、一時的に全村避難が行われた。再び故郷に戻って復興に向け歩み出した人々を、両陛下は心から励まされた。
川内村では今年1月に、帰村を訴える「帰村宣言」が出され、村民約3千人のうち約750人が戻った。しかし、民家の除染は、20キロ圏外部分でも約6割しか済んでいない。
両陛下は、9月下旬に民家の除染作業が始まったばかりの同村上川内早(はや)渡(わた)地区で、村の業者などでつくる事業組合の除染作業を視察された。陛下は放射線量について「ほとんどがセシウムですか」「だいぶ下がっているんですね」などと現場責任者にご質問。作業員に「どうもご苦労さま」と声をかけられた。皇后さまも陛下とともに住民に励ましの言葉をかけられた。
同地区で除染が完了しているのはまだ1戸のみで、住民の不安を増す一因となっている。ある住民は「両陛下に励ましていただいて、本当にありがたかった」と話した。
自宅が20キロ圏内にあるため、村には戻れても自宅には帰れない人も多い。両陛下は、そんな住民約100人が暮らす仮設住宅もご訪問。陛下は「体の方はいかがですか」と住民に声をかけられた。皇后さまが89歳の女性と乳児の手を握りしめ励まされる場面もあり、涙を浮かべる住民もいた。
除染作業を復興に向けての重要な要素として深い関心を寄せ、視察を望まれたという両陛下。復興状況を説明した遠藤雄(ゆう)幸(こう)村長は、「『一日も早く戻れるといいですね。子供たちが戻れる環境をつくってください』と励ましていただきました」と語った。
東京電力第1原発事故による放射性物質の除染現場を視察される天皇、皇后両陛下
=13日午後、福島県川内村
福島県川内村を訪問し、下川内応急仮設住宅の入居者に言葉を掛けられる天皇、皇后両陛下
=13日午後
JR東京駅の新幹線ホームに到着された天皇、皇后両陛下
=13日午前、東京都千代田区(大西史朗撮影)