陛下、奇跡のクニマスとご対面。
雅子さま、長年勤めた侍医にご会釈。
天皇、皇后両陛下は6日、甲府市を日帰りで訪問し、大水害からの復興に役立つよう、明治44年に明治天皇の指示で皇室から山梨県に贈られた恩賜=おんし=林を森林公園の展望広場から視察された。散策中は案内役に木の名前を次々と尋ね、リラックスしたご様子だった。
贈られた林は、約16万4千平方キロだったと伝えられており、現在の山梨県の面積(約44万6500平方キロ)の約37%にもあたる。両陛下は下賜を伝達した当時の宮内大臣から桂太郎首相への「御沙汰書」もご覧になった。
両陛下は昨年11月に同市で「恩賜林100年」の記念式典に出席される予定だったが、陛下が気管支炎で入院したため、皇太子さまが名代として出席されていた。今回、陛下の希望もあって改めて訪問されることになったという。
東京から甲府までの往復には菊紋つきの車両を連結したフル編成(6両)の特別列車(お召し列車)が使われた。東京駅では、両陛下は改修工事を終えた東京駅を初めて利用し、新しくなった貴賓玄関を使われた。
両陛下が地方を訪問されると、知事が県勢概要を説明するのが慣例になっているが、今回の県勢概要には、絶滅したといわれていた「クニマス」が西湖で発見されたことが盛り込まれていた。県によると、説明の場には実際にクニマスの稚魚が用意された。両陛下が生きているクニマスをご覧になったのは初めてとみられる。
魚類学者の顔を持つ陛下は、クニマスが確認された直後の平成22年12月に開かれた77歳の誕生日会見で「本当に奇跡の魚(うお)と言ってもよいように思います」と感想を述べ、関心を寄せられていた。
両陛下は9日、ノーベル医学・生理学賞受賞が決まった京都大の山中伸弥教授(50)に、お喜びとお祝いの言葉を、川島裕侍従長を通じて電話で伝えられた。同日、宮内庁が明らかにした。
宮内庁によると、川島侍従長は、両陛下が受賞を心から喜ばれていることとともに、「健康に十分留意されつつ、研究をお続けになるように」という趣旨のお言葉を伝えた。
両陛下は21年4月、お住まいの皇居・御所でiPS細胞について山中教授と懇談された。その後も22年の6月と11月、今年6月の計3回、皇居での茶会などの機会に山中教授とお会いになっている。
また、両陛下は山中教授とともに受賞したガードン博士についても、昭和62年に会われたことを懐かしく思い起こしておられるという。
両陛下は10日夜、皇居の「窓明館」で、宮内庁職員が、現在は78歳の陛下の喜寿(77歳)をお祝いする茶会に出席された。
集まった職員は約600人。宮内庁職員は特別職52人、一般職964人の千人余り(24年度末の定員)だが、京都や御用邸など各地に散らばっている。この日は宮内庁庁舎で働く職員のみならず、宮内庁病院(皇居内)、東宮職(東京・元赤坂)、御料牧場(栃木)などからも職員が集まっていた。
職員代表がお祝いの言葉を述べた後、乾杯が行われると、陛下は「どうもありがとう」と話された。両陛下は続けて、花が置かれた机の周りに配置されたパイプいすに座り、各部の職員らと歓談された。
両陛下は10月に入ってから多忙で、この日も午前中に2件、午後に3件のご活動をした後でこの茶会に出席された。
皇太子さまは9日、東京都港区の六本木ヒルズで行われた国際交流基金賞(国際交流基金主催)の平成24年度授賞式に臨席された。授賞式では、受賞者の作家の村上春樹さん(63)=欠席=ら、学術・芸術の分野で日本と海外の相互理解に貢献した2人と1団体に賞が授与された。皇太子さまは「国際交流の幅広い分野において専門性を生かして活動されている受賞者および受賞団体の皆さんの一層の活躍を心から期待いたします」とお言葉を述べられた。
皇太子さまは、その後に行われたレセプションにも臨席し、東日本大震災を機に日本に帰化した米コロンビア大名誉教授のドナルド・キーンさん(90)ら出席者と、親しく言葉を交わされた。
皇太子さまは12日には、日本で開催中の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の全体会合に臨席するため、東京都千代田区の東京国際フォーラムに足を運ばれた。
皇太子さまは、IMFのラガルド専務理事らに迎えられた後、全体会合にご臨席。各国の財務相ら代表者を前に英語でお言葉を述べられた。東日本大震災にふれ、「諸外国の皆さまから多くの温かい励ましとご支援をいただいたことに対し、この場を借りて深く感謝の意を表します」と、お礼を述べたうえで、世界経済について持続的成長の確保や国際金融の安定化、貧困の削減などの課題をあげ、「国際協調の精神に基づく世界レベルでの取り組みを必要としています」と述べられた。
皇太子妃雅子さまは10日、皇太子さまとともに、お住まいの東宮御所で人事異動者ご会釈に臨まれた。宮内庁によると、対象となったのは同庁東宮職の東宮侍医(医師)を約15年勤めた栗山基朗御用掛と、新しい東宮侍医だったという。
前回の「皇室ウイークリー」に掲載したが、雅子さまは先週3件の公的活動に出席するなど、最近公務などへのご出席が目立っている。きょう13日には敬宮愛子さまが通われる学習院初等科で、運動会が開かれる。
寛仁親王家の長女、彬子さまは9日、勤務先の慈照寺研修道場(京都市)の出張のため、フランスに向けて出発された。22日に帰国される予定。
宮内庁によると、日本美術などを研究している彬子さまが、勤務先の出張として海外を訪問されたのは今回が8回目。22年3月の米国以降、米ハワイ、英国、スウェーデン、エストニア、ポーランドなどを訪れており、世界各国で活動されている。
今回、彬子さまはパリ市立美術館で13日に「感謝のこころをつなぐ」と題して神道をテーマにした講演を日本語で行うほか、日本文化を紹介する事業の事務方を務められる。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮ご夫妻は8、9日、「第67回国民体育大会」に臨席するため、岐阜県を訪問された。
秋篠宮さまは12日、愛媛県西条市を訪問し、「湧水保全フォーラム全国大会inさいじょう」に臨席された。
常陸宮妃華子さまは10、11日、富山県を訪問され、「富山大和」(富山市)で「日本いけばな芸術協会創立45周年記念 第8回日本いけばな芸術信越展」に臨席された。
寛仁親王家の長女の彬子さまと次女の瑶子さまは6、7日、それぞれ岐阜県を訪問され、国民体育大会に臨まれた。
瑶子さまは11日から2日間にわたって福岡県をご訪問。12日に福岡国際会議場(福岡市)で「第4回国際ユニヴァーサルデザイン会議2012in福岡」に臨席された。
高円宮妃久子さまは9日、東京都港区の六本木ヒルズで行われた国際交流基金賞の平成24年度授賞式にご臨席。その後、「にっぽん-大使たちの視線写真展2012」オープニングレセプションにも臨まれた。
久子さまは12日には、幕張ハウジングパーク(千葉市)で行われた「第24回住生活月間中央イベントスーパーハウジングフェアinちば」に臨席された。