【都道府県 伝統の教え】埼玉県
全国で初めて偉人の名がつけられた学校だ。埼玉県川越市の特別支援学校「塙保己一(はなわほきいち)学園」は視覚に障害がある子供たち99人が学んでいる。
幼稚部、小学部、中学部、高等部普通科があり、さらに、高等部などを卒業した生徒が進学する専攻科では、指圧、はり、マッサージなどの国家資格取得を目指す教育も行っている。特別支援学校の中では県内最古の学校。通学範囲は全県で、寄宿舎も完備されている。
同校は県の学校設置条例が改正された平成21年に盲学校から現在の名称に変更された。江戸時代の盲目の国学者、塙保己一は現在の同県本庄市児玉町出身で、7歳の時に失明するが、学問の道に進み、「群書類従」の編纂(へんさん)など貴重な文献を収集し、版木に残して後世に伝えるという偉業を成し遂げた。
卒業生が作詞した校歌(昭和31年制定)にも「刻む歩みに保己一のまこと心を受けつぎて…」と歌われており、校名改称の際、郷土の偉人の名をつけた。同校では「視覚障害があろうとも立派に生きた塙保己一を励みとし、子供たちは頑張っていますよ」と話している。