障害福祉サービス事業所「清流園」で作業の様子を見学される天皇、皇后両陛下=28日、岐阜市
突然演奏を勧められた皇后陛下。
喜寿お祝いを東宮御所でするのは雅子さまのため?
皇后さまの喜寿(77歳)をお祝いするご内宴が23日、皇太子ご一家がお住まいの東宮御所で開かれた。
宮内庁によると、皇室からは天皇、皇后両陛下と皇太子ご一家、秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さま、常陸宮ご夫妻、高円宮妃久子さま、長女の承子さま、次女の典子さまの計13人が出席された。このほか元皇族、ご親族を含め、40人程度の会になった。
内宴は皇太子ご夫妻と秋篠宮ご夫妻が黒田清子さん夫妻とともに主催されたもので、人間国宝の野村萬さんらによって狂言が演じられた後で、夕食を取られたという。
今月6歳になられたばかりの悠仁さまは食事には同席しなかったが、皇后さまのおぼしめしで、狂言を一緒に鑑賞されたという。宮内庁の小町恭士東宮大夫は28日の定例会見で「とても和やかなお祝いの会で、両陛下はお喜びのご様子だった」と説明した。
平成22年12月に78歳になられた陛下の喜寿をお祝いするご内宴は、東日本大震災の影響で開催が遅れ、今年4月28日に東宮御所で開かれていた。
お祝いされる側の両陛下がいずれも東宮御所まで出向かれたことについて、一部週刊誌は「昭和時代には、同様のお祝いの会は東宮御所では行われなかった。病気療養中の雅子さまが出席しやすくするためではないか」という趣旨のコメントを掲載したが、小町東宮大夫は28日の定例会見で「お子さま方が主催されるご内宴については、昭和の御代から東宮御所で開催された例もある。今回のご内宴を、妃殿下のご体調ゆえに東宮御所で開催したということはございません」と述べ、雅子さまのご体調は開催場所の選定に影響していないと説明した。
平成になってから皇太子さまが主催されたお祝いの催しは、すべて東宮御所で開かれているそうだ。
両陛下は28日、第67回国民体育大会開会式出席などのため、岐阜県に入られた。新幹線の岐阜羽島駅に到着されると、大勢の県民が出迎えた。
岐阜県では18年に第57回全国植樹祭、22年に第30回全国豊かな海づくり大会が開かれており、両陛下のご訪問機会が近年多い。平成以降は6回、同県に足を運ばれている。陛下は皇太子時代にも8回訪問されており、ゆかりが深い県の一つだ。
この日の記者会見で古田肇知事は「両陛下は、海のない県が川で行った海づくり大会をとても印象的に思っていらっしゃったようで、何度も『明日が楽しみですね』と話されていた」と話した。
到着後、両陛下は岐阜市の県美術館で、パイプオルガンによる演奏をお聞きになった。曲目はミサで演奏される「エレヴァツィオーネ」。美しい音色が響き渡り、両陛下は拍手を送られた。ご自身もピアノを演奏する皇后さまは非常に感激した様子で、パイプオルガンに近寄り、音色を楽しまれた。演奏を勧められたが、皇后さまは「今の演奏を心にとどめておきたいので」と遠慮されたという。
続いて、開催中の特別展「マルク・シャガール-愛をめぐる追想」をご鑑賞。同館の30周年を記念したもので、シャガールの作品の中で、家族愛や隣人愛など「愛」をテーマにした200点以上を集め、日本初公開の作品も多く展示。陛下は「何年がかりで準備されたんですか」と質問し、3年がかりだったことを知ると、「大変だったんですね」とねぎらわれたという。
両陛下は説明を受けながら、一点一点をじっくりご覧になった。シャガールは、ロシアのユダヤ人居住区で生まれており、陛下は絵を見ながら「ロシア革命よりも?」などと、制作時期について質問されていた。皇后さまは、有名な作品の「枝」を見ながら、「あれは牛かしら?」などと質問されていた。
両陛下はこの日、同市内の障害福祉サービス事業所「清流園」も訪問された。施設では障害者の就労支援を目的にしており、入所者が靴下や編み物、せっけんの加工作業や、パンの生産などを作業を行っている。
陛下は、作業室で、ハンガーの加工作業をしている男性に、「慣れてきましたか?」などと質問された。皇后さまは女性の入所者に「このお仕事はこれをまとめるの?」と尋ね、「見せてくれる?」と声をかけられた。女性がハンガーを落としてしまい、皇后さまは「ごめんなさいね。話しかけて」と優しく励まされた。また、皇后さまは、複雑な編み物をしている男性に「難しいですね」「すごいですね」と話しかけられた。
古田知事によると、両陛下は休憩後に施設を後にする際、もう一度作業所に戻って、手を振られた。その姿に入所者からは歓声が上がったという。
皇后さまは24日、東京・銀座の吉井画廊で、「仏蘭久(フランク)淳子展」を鑑賞された。宮内庁によると、個人的な交友関係があるため訪問された。天皇陛下が皇居の水田で恒例の稲刈りをされた同日午後にも、皇后さまは私的にハンガリー大使館を訪問された。
秋分の日の22日には皇居・宮中三殿で「秋季皇霊祭の儀・秋季神殿祭の儀」が営まれ、両陛下と皇太子さま、秋篠宮ご夫妻、常陸宮ご夫妻、高円宮妃久子さま、長女の承子さまが臨まれた。
皇太子さまは26日、高尾みころも霊堂(東京都八王子市)で、労働災害で亡くなった人々を慰霊する「産業殉職者合祀(ごうし)慰霊式」に出席された。東日本大震災で亡くなった約1800人を含め、昨年度に労災と認められた約5300人の名簿が祭壇に納められた。
一方、宮内庁によると、愛子さまは今週前半は風邪気味のご様子で、学習院初等科への登校を遅らせた日もあった。すでに体調不良は解消されているという。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮さまは23日、有楽町朝日ホール(東京都千代田区)で、第17回山階芳麿賞贈呈式と財団創立70周年記念シンポジウムに出席された。
秋篠宮ご夫妻は25日、高島屋東京店(東京都中央区)で「傘寿記念上村淳之展」を鑑賞された。
紀子さまは28日、東京ミッドタウン(東京都港区)で結核予防会の東日本大震災第6回震災対策委員会に出席し、写真展もご覧になった。
常陸宮妃華子さまは25日、日本橋三越本店(中央区)で第59回日本伝統工芸展を鑑賞された。28日にはサントリー美術館(港区)で「お伽草子-この国は物語にあふれている-」展をご覧になった。
久子さまは22日、米国大使公邸(港区)で「TOMODACHI SUMMER2012 CELEBRATION」に、23日に日比谷公園(千代田区)でアーチェリーワールドカップファイナル2012東京大会に臨まれた。
27日、六本木ヒルズ(港区)で「カタール・ウィーク:ファルジャンin東京」のオープニングセレモニーにご臨席。夜には青山円形劇場(東京都渋谷区)とスパイラルホール(港区)で、「ダンス・トリエンナーレ・トーキョー2012」の演目を続けて鑑賞された。