圧力テコに拉致解決迫れ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】小泉訪朝10年





訪朝した小泉純一郎元首相に対し、北朝鮮の故金正日総書記が日本人拉致の事実を認めて謝罪した、日朝首脳会談から10年を迎えた。北朝鮮の国家犯罪が白日の下にさらされ、国民が怒りと悲しみに震えたあの日を忘れてはならない。

 拉致被害者の蓮池薫さんら5人とその家族は無事、帰国した。だが、10年たった今も、横田めぐみさんら他の多くの被害者は帰国できないでいる。政府、与野党ともまず、このことをしっかり反省すべきである。

 先月末、4年ぶりに日朝政府間協議が行われた。次回局長級協議で、北朝鮮は拉致問題を議題とすることにも難色を示している。

 北朝鮮が4年前に約束した日本人拉致被害者の再調査を実行させるためには、期限を切って回答を迫り、北の対応によっては、制裁強化も辞さないという強い姿勢が必要である。

 昨年暮れ、金総書記が死亡し、三男の金正恩第1書記の体制に代わったが、相変わらず、拉致問題に誠実に向き合う態度は見られない。今後も、圧力をテコに、北を拉致問題解決に向けて動かすための粘り強い外交が求められる。間違っても、日朝国交正常化に前のめりになってはならない。

 10年前、小泉氏が署名した日朝平壌宣言は、日本の「植民地支配」への「痛切な反省」と「心からのおわび」が盛り込まれ、国交正常化後の日本の経済支援を約束する内容だった。「拉致」の文言はなく、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」という曖昧な表現でぼかされていた。


これで北朝鮮が本当に謝罪したことになるのか。字句の修正を求めることはできなかったのか。改めて検証が必要である。

 さらに問われるべきは、小泉氏が訪朝するまで何十年間も、拉致を放置し続けた歴代内閣の不作為責任である。「平和を愛する諸国民の公正と信義」をうたった「平和憲法」に安住し、国民の生命と主権を守るための海岸線の防備や北朝鮮工作員を取り締まるための法整備を怠ってきた。

 今月初め、東京都内で開かれた拉致被害者の早期救出を求める国民大集会に、野田佳彦首相ら主要政党の代表が出席し、「オールジャパン」で拉致問題解決を目指すことが確認された。民主党代表選や自民党総裁選で、拉致問題をめぐる論戦を期待する。