【私と憲法】(5)制服向上委員会会長・橋本美香氏
「理想と現実」考える契機に
憲法に関心を持つことになったのは、25歳のときに憲法9条をテーマにした「理想と現実」という歌を歌うことになってから。それがきっかけになり、主に9条について勉強を始めることになった。
「理想と現実」の歌詞の中に「(他国から)攻撃されたらどうするのか、誰も国を守らないのか」という文言があるが、憲法9条をめぐっては矛盾だらけなんだろうな、と正直思った。
ただ竹島や尖閣諸島の問題も、いつ戦争に発展するかわからないような緊迫した状況の中だからこそ、9条が重要だと思うし、もっと知る必要があると思う。
今の日本の、戦争をしない自衛隊である状態は守っていかねばならないと思うし、戦争をしないための憲法であってほしいと願っている。
ただ日本にある米軍基地の存在をどう考えるかとか、歌っていて矛盾に突き当たって、答えはなかなか見つからない。
自分でも葛藤しながら答えを探っているような状態だ。
日常生活で憲法について語り合う機会はほとんどないはず。それは憲法の表現の難しさにも問題があると思う。でも「憲法は難しいから」と触れないまま避けて通るのは良くないだろう。
憲法9条の理想と現実の隙間を少しずつ埋めていかなければと思う。
この問題に興味を抱き続けることが、私自身を含めての課題だと思っている。「理想と現実」は今も歌っているが、何かを考えてもらうきっかけになれば、歌を通して問題提起をしていければ、と思いながら歌っている。
憲法がどこか遠いところの話ではなく、身近なものになるように歌を通して訴えていけたらいいと考えている。
◇
【プロフィル】橋本美香
はしもと・みか 千葉県生まれ。平成7年、アイドルグループ「制服向上委員会」のメンバーとしてデビュー。5代目リーダーを経て、14年から制服向上委員会会長。最近は脱原発活動にも積極的に参加するなど“社会派”の歌手として活動中。著書に「脱がない、媚びない、NOと言えるアイドル」。32歳。