「侵略者にやさしい国」でいるつもりですか?
荒んでゆく世界 より。
パラオ・ロックアイランド
日本からだと、成田を出て、グアム経由で、だいたい8時間くらいかかる南洋の島で、そして、ご存知の通り、パラオの人々の親日感情は今も強く、パラオを訪れる日本人にとても温かいそうで、ブログ主もぜひ死ぬまでに行ってみたいと思う国のひとつです。
そんなパラオで、今年3月末、こんなことがありました。
違法操業取り締まりで中国人漁民1を射殺、5人を逮捕=パラオ http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0404&f=national_0404_140.shtml
パラオ当局によると、同国が排他的経済水域に設けているサメ保護区で3月30日、違法操業をしていた中国漁船と取り締まりの警察の間で「激烈な争い」が発生した。警察は中国人乗組員1人を射殺し、5人を逮捕した。6人とも中国国籍という。
同件に絡み、飛行機1機が行方不明になった。操縦士1人と警察官2人が乗り組み、中国漁船の「母船」を捜索していたが行方不明になった。飛行機はナビゲーション・システムが故障し、燃料切れで海に墜落したとみられている。
パラオは2009年、商業的漁業を禁止した広さ63万平方キロメートルの「サメ保護区」を自国の排他的経済水域内に設けた。違反の場合には最大で禁錮2年と罰金5万ドルの刑が科される。(編集担当:如月隼人)
軍隊も無(な)い太平洋上の小さな島嶼(とうしょ)国家パラオが、強大な軍事力でアジア・太平洋の島嶼・海洋資源を次々に不法占拠する中国に対し正義を貫いた。違法操業を犯した中国漁民を「法に基づき起訴した」のだ。しかも、警告を無視した中国人を結果的に射殺して尚、正当性を譲らない。
中国を恐れ、その違法に目をつぶるわが国はパラオに学ぶがよい。
中国の不正に正義を貫くパラオと主権国家の「一分」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120528/asi12052800540000-n1.htm 2012.5.28
■中国漁民25人を起訴
パラオ警察は3月末、自国の鮫(さめ)保護海域で違法操業中の中国漁船を発見し、警告射撃を実施。ところが、不敵にも警告を無視して、漁船から小型艇2隻を降ろして操業を続けようとした。このため、パラオ警察艇が小型艇を追跡、強制停船に向けエンジンを狙い射撃した。その際、中国人1人が被弾し死亡。小型艇に乗っていた残り5人を逮捕したものの、他の20人は証拠隠滅のため、漁船に放火して海に飛び込んだ。最終的には死亡した1人を除き、25人全員が「御用」となった。
中国人漁民25人は4月上旬、起訴された。パラオ警察は「中国人漁民は複数の罪に問われている」「裁判の結果、処分が決まる」と言明。粛々と司法行為を進める決意を示した。
小欄は、パラオ政府の決然とした姿勢とは対照的な卑怯(ひきょう)・卑劣な政府を知っている。尖閣諸島近くで領海侵犯し、あまつさえ海上保安庁の艦船に体当たりまでしてのけた、工作船の可能性すら疑われる漁船の船長を、民主党政府は一地方検事の判断だと、責任をなすりつけた揚げ句釈放。しかも、船長を迎えに来日した中国政府高官のために深夜、石垣空港を開港させる媚(こび)まで振りまいた。
ところで、中国政府では隣国ミクロネシア連邦の大使館から外交官を派遣し、事件の調査を始めた。パラオは台湾を国家として遇し、外交関係を保つ23カ国の1国で、中国を正統国家として認めていない。従って、大使館を置くミクロネシアの外交官が、特別の手続きを踏んだ上で入国した。中国を国家と認めぬパラオの姿勢に加え、パラオを取り巻く情勢を考慮すると、日本の卑屈は一層悪臭を放つ。
■品性なき卑劣な日本
前述したミクロネシアのヤップ島から米軍事拠点グアムまではわずか700キロ。中国軍は将来、水上艦や潜水艦の補給基地として、ヤップ島など太平洋島嶼国家を活用する戦略を真剣に描く。台湾や朝鮮半島で危機・戦争が勃発(ぼっぱつ)した際、この海域で米海軍空母打撃群の西進を阻止する狙いからだ。既にトンガ/フィジー/パプアニューギニアに軍需関連物資を提供し、軍人同士も交流させている。
孤立しつつあるパラオを、中国はどの様に苛(さいな)むだろうか。
(中略)もっとも、パラオもしっかり布石を打っている。1994年の独立時に米国と自由連合盟約を締結。期限付きで全軍事権と、外交権の内、軍事権に関係する部分を米国に委ねた。盟約に基づき、国民の一部は米国軍人として入営してもいる。
親米国家であると同時に、日本による委任統治の歴史から親日国家でもある。2005年の来日前の会見で、当時の大統領が靖國(やすくに)神社参拝について「全(すべ)ての人のために祈るのは正しい行為だ」と、支持している。
ただ、中国の魔手からパラオを守る気概は、残念だが今の日本に残ってはいない。嫌日国家・中国の顔色を窺(うかが)う、「一分」を捨てても恥と感じぬ、品性無き国家に成り下がったためだ。(九州総局長 野口裕之)
【月刊WiLL10月号 総力大特集 図に乗るな中国!】でも、このパラオの対応を山際氏がとりあげておられました。↓
http://web-wac.co.jp/magazine/will/201210_w
パラオは中国不法漁船員を射殺した
著:山際澄夫氏
■侵略者にやさしい国
中国の活動家による尖閣上陸事件も、その遠因は日本の姿勢にある。
上陸したのは、香港を拠点とする「保釣(釣魚島防衛)行動委員会」と称する活動団体のメンバーだが、中国の意向のもとで動いているのは間違いない。
※参考記事:9、10月に再び釣魚島への上陸計画:香港保釣活動家
先にもふれたように、上陸の模様は同行していた香港フェニックステレビの記者の衛星電話による情報に基づいて、ツイッターやフェイスブックで分刻みで伝えられた。
※参考記事:抗議船衝突の映像を放映 香港のテレビ局
映像には衝突の際、抗議船の活動家らが巡視船の操舵室(そうだしつ)を目がけブロック片のようなものを投げる姿や、抗議船の船首で巡視船の手すりがなぎ倒される様子なども映っていた。
衝突の程度は、公務執行妨害罪を適用した2010年の中国漁船衝突事件の映像と遜色がなく、改めて同罪を適用しなかった判断の是非が問われそうだ。【動画】尖閣への不法入国者逮捕の瞬間
不法入国という犯罪が、実況公開付きで行われた世界初のケースではないか。
報道によれば、この実況のなかに中国船の船長のこんな感想があった。
「日本人がどれだけ船で囲んでも怖くない、ということを見せることができた」
また、14人が逮捕されたあと、香港の留守部隊のメンバーから
「皆さん安心して。彼らは寿司やラーメンを御馳走になり、沖縄に少しとどまってから、すぐに帰ってくる。日本人は彼らに指一本触れられない」
と予告する投稿があったという。
そして、結果は彼らの予告どおりだった。
彼らは日本が自分たちを主権侵害の重大犯罪人としてではなく、交通違反程度の軽い犯罪、したがって、紳士的(?)に扱ってくれるのを知っていたのである。
だからこそ、安心して上陸し、逮捕後の移送中も「釣魚島は中国の領土だ」「日本は出て行け」「日本軍国主義打倒」と叫ぶなど、悪態をつくことができたのである。
これは秘密でもなんでもない。一昨年の尖閣侵略事件でも、逃走中の中国人船長が仲間の船員に、
「絶対に巡視船は撃ってこない」
と語っていたことが分かっている。
日本は侵略者にやさしい国なのである。実際に海上保安庁は、これだけ悪質な不法入国にもかかわらず、「双方にけが人が出るような強硬手段を取らない」というのを対処方針としていた。
だが、そのことが日本への不法上陸を”奨励”する結果となっているのである。
政府の対処方針に従った海上保安庁だけを責められないが、平和ボケもいいところだ。香港の愛国者の”壮挙
(そうきょ:壮大で意欲的な計画。また、その実現)”は、まともに領土を守ろうともしない日本政府がサポートしているといっても間違いではあるまい。
そしてとどのつまりが、無罪放免の強制送還である。
2004年に、尖閣諸島に中国人活動家7人が不法上陸した際に強制送還したことを参考にしたというが、当時と今とでは状況が違う。
一昨年の中国漁船による尖閣事件のあと、中国の侵略意図は一層鮮明になっている。特に今年に入ってからは、日本の領海を毎週のように脅かしている。それなのに、なぜ無罪放免なのか。
■「ここはパラオの領海だ」
中国船の領海侵犯はあちことで頻発している。だが、中国に屈している国ばかりではない。日本と同じように、中国船の領海侵犯を受けたパラオでは、中国に一歩も譲歩することがなかった。
※参考記事:違法操業取り締まりで中国人漁民1を射殺、5人を逮捕=パラオ
戦前は日本の委任統治領だったことで知られるパラオは、人口は2万人だが、国連に加盟する独立国である。1994年にアメリカの信託統治から、パラオ共和国として独立した。ただ、独自の軍を持たず、安全保障はコンパクト(自由連合盟約)と呼ばれる条約で米国に依存している。29カ国と外交関係を樹立しているが、台湾を国家として承認しているため、中国とは国交がない。
※参考記事:パラオの大和魂
現在の大統領は、米国の大学で学んだ第7代目のジョンソン・トリビオン大統領である。
中国漁船の傍若無人ぶりを憤慨するパラオのジョンソン・トリビオン大統領=パラオ・コロールの海岸(AP)
このパラオ当局が中国漁船の領海侵犯を発見したのは、今年3月の末だった。これまでも中国船の領海侵犯は時々あったという。
だが、今回はいつもと様子が違っていた。小型のフィッシングボートに大きな船外機が3台もついていた。しかも、3日間も領海内にとどまっていた。
パラオの警備艇が近づくと、全力で逃げはじめた。このため、警備艇はエンジンを狙って発砲し、その際に流れ弾が船員一人に当たって死亡した。その後、フィッシングボートの母船を発見したが、母船は自ら火を放って炎上したという。
この結果、最終的には25人を逮捕、領海侵犯で起訴した。
中国とは国交がないため、駐ミクロネシアの中国大使館に連絡してそこから中国外交官がやってきたが、「中国外交官は非常に傲慢だった」と、トリビオン大統領はその時の様子を地元メディアに語っている。即時の釈放や、中国人漁船員一人一人と立会いなしで面会を求めてきたという。
中国に対しては、遺族への丁重な弔意を示した。しかし、即時釈放などは断り、最終的には全員に有罪を認めさせ、罰金を1千ドルずつ払わせた。中国人船員の拘留は17日間に及んだ。あくまでも国際法、国内法を貫いたのである。
釈放にあたって、中国はチャーター機を用意していきて全員を連れ帰ったという。
トリビオン大統領は、中国船の目的は漁業ではなく、スパイではなかったかとみている。パラオは中国軍のいう、いわゆる「第二列島線」
にあたり、中国は近年、活動を活発化しているという。小笠原諸島からマリアナ諸島、グアム、パラオを結ぶ線である。
※参考:中国の海洋戦略
このため、いまパラオは国防政策の変更を迫られている。中国の脅威が具体化した以上、それに備えるために米軍の駐留を求める必要があるというのである。現状では米軍の駐留はなく、独自の軍も持たないためだ。日本軍が玉砕したペリリュー島、アンガウル島が候補地だという。
この事件では、パラオも大きな犠牲を払った。中国船の捜索に飛び立ったセスナ機が墜落して警察官2人、米国人パイロット1人が死亡したからだ。
それでも中国の圧力に屈しなかったことについて大統領は、
「はっきりしているのは、ここはパラオの領海だった」
との趣旨を、地元メディアに語っている。ろくに取り調べもしないで不法入国者を追い返した尖閣上陸事件への日本の対応や沖縄でのオスプレイ派遣反対騒ぎを、トリビオン大統領ならどう見るだろうか。
■マスメディアの平和ボケ
中国の無法集団を事実上、無罪放免としたことで、今後、周辺国の日本挑発がさらに加速するだろう。
中国の人民日報系の国際問題紙『環球時報』は、李明博大統領の竹島上陸直後にこう主張していた。
<ロシアと韓国の指導者の島への上陸に反対することはできない。中国は釣魚島問題でロシアから中国への支持を取り付け、韓国世論の中国への同情を集め、米国の中立的立場を勝ち取るべきだ。そうなれば、日本が釣魚島問題で騒げる空間は小さくなる>
驚くほど率直な中国の日本侵略戦略だろう。そしてかなりの部分、実現しているようにも見える。
戦後、日本がこれほど周辺国に侮られたことはない。これは決して偶然ではない。国益を度外視した民主党政権の外交、防衛政策の故だ。
民主党政権は、普天間移設問題で日米同盟の信頼性をゆるがせにしたのに続き、一昨年の尖閣侵略事件で中国人船長を無罪放免したからである。
日本の弱腰を見て中国、韓国、北朝鮮、それにロシアは腐肉にたかるハイエナのように、日本への挑発を競いはじめたのである。中国は尖閣侵略を常態化させ、ロシアは当時のメドベージェフ大統領を北方領土に不法上陸させた。逆に、北朝鮮による拉致事件、核問題は1ミリも動かなくなった。
民主党の亡国政治を後押ししているのが新聞、テレビである。いま、日本はさらなる挑発を招かないためにも適切な報復措置を行わなくてはならないのに、韓国への制裁を具体的に提案して政府に迫る新聞はほとんどない。
また、尖閣上陸についても、不法入国者を裁判にかけろと主張した新聞はなかった。
毎日新聞は<活動家に厳しい罰を科して再発を防げという意見もあるだろう。しかし、慎重で柔軟な政治的知恵も必要だ>と主張。
また、読売新聞は<日本の法令を円滑に執行するという実績を残した意義は小さくない>と、全員逮捕だけを評価した。
一昨年、中国人船長の釈放を支持した朝日新聞となると、<公務執行妨害にあたるような抵抗はなく、妥当な措置だ>(いずれも6月17日)と、今度は強制送還を支持した。
なにかといえば「中国や韓国を刺激するな」というのが、日本のマスメディアの特徴だ。その結果、パラオにできることすらできない情けない国になっているのに、それでもまだ宥和(ゆうわ)主義の間違いに気がつかないようだ。
※宥和主義(政策)
:戦争に対する恐れ、倫理的な信念、あるいは実用主義などに基づいた戦略的な外交スタイルの一つの形式で、敵対国の主張に対して、相手の意図をある程度尊重する事によって問題の解決を図ろうとすることだが、日本では主に、反戦平和主義およびそれを主張するものを批判する論拠とされ、また軍備増強やそのための憲法改正を全面肯定する論拠ともされている