【都道府県 伝統の教え】東京都
「ウラメウ ウルリイイウメ エファンリイイトゴ オシマアアアア」。東京都小笠原村に伝わる「南洋踊り」の歌詞である。戦前、日本が統治していたサイパンやパラオ、トラックなどの島々に伝わる島踊りが残り、平成12年には南方文化伝播(でんぱ)を知る貴重な踊りとして、東京都の無形民俗文化財に指定された。
村立小笠原小学校では郷土の貴重な文化を学ぶため、保存会とともに練習。子供たちは運動会や観光客の歓迎会、定期船が出入港する港などで披露、本土とかつて日本が統治していた広大な太平洋に点在した島の接点となっていた小笠原の歴史を体験している。
歌は「ウラメ」「夜明け前」「ウワドロ」「ギダイ」「アフタイラン」の5曲。ときどき中腰でおしりをたたき調子を取りながら、集団で歌い踊る。「夜明け前」以外は南洋諸島の言葉で、南洋らしい自由奔放な男女の恋愛が中心になっている。
小笠原では戦前、演芸大会やお祭りなどで広く普及し、戦時中は駐屯していた将兵の慰問で踊られていたという。昭和19年の強制疎開後、一時途絶えるが、43年の本土復帰で帰島した島民の手で伝承されている。