「日本防衛に重要」オスプレイ 米
【ワシントン=佐々木類】
森本敏防衛相が米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの試乗を終えたことで、米政府は10月の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)へのオスプレイ配備に日本側の理解が進むことに期待感を強めている。
「私は何度もオスプレイに乗った。(戦地の)アフガニスタンと同様、ワシントン市内からニューヨーク市など(大都市)の上空も飛んだことがある」
パネッタ米国防長官は3日午後、森本敏防衛相との共同会見でこう述べ、オスプレイの安全性を強調。同時に、「日本政府からオスプレイの安全性への懸念が示された際、われわれはすぐに協力的、建設的な態度で対応した」とし、日本政府が安全を確認するまで飛行を自粛する配慮を示していることに理解を求めた。
リッパード国防次官補は森本防衛相の試乗が決まった先月下旬、日本側当局者に「オスプレイの高い飛行能力をお見せする」と自信満々に表明している。それだけに、森本防衛相から試乗後、「快適」との言葉を引き出したことに、国防総省は安全性への自信を深めるとともに、今後、沖縄や山口両県の関係自治体に対する日本政府の説得に期待感を強めている。
米政府はオスプレイについて、中国が領有権を主張して挑発行為を続ける尖閣諸島を念頭に「沖縄の離島防衛に重要」(パネッタ長官)と位置付けている。抑止力向上に加え、自衛隊とともに奪還能力を高める方針を固めており、「日本防衛のための米国の関与を遂行するために極めて重要」との姿勢は不変だ。
配備を急ぐのは、普天間飛行場に配備中の老朽化したヘリコプターCH46の運用面での危険性が高まっているという切迫した事情も背景にある。
米政府は今後、4月と6月にモロッコ、米フロリダ州で起きた墜落事故に関する報告書について「十分に情報を提供する」(パネッタ長官)構えで、世界規模で進めている米軍再編の一環として、CH46の引退に伴う日本周辺の防衛網の穴を少しでも早く埋めたい考えだ。
3日、会談後に共同記者会見するパネッタ米国防長官(左)と森本防衛相
=ワシントン郊外の国防総省(ロイター)