野ブタは今国会で解散し国民に信を問え! | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【高橋昌之のとっておき】





 このところ、野田佳彦首相周辺や民主党幹部から、衆院解散・総選挙は今国会ではなく、9月の代表選で再選されたうえで、秋の臨時国会か、またはそれ以降にやるべきだとの声が聞こえてきます。

 民主党の支持率下落から、衆院選をやれば同党の大幅議席減は避けられない情勢で、解散を先送りしようというのは、同党議員の一日でも長く「与党にいたい」「国会議員でいたい」という願望の表れであることは言うまでもありません。

 野田首相の真意は定かではありませんが、解散の前提として赤字国債発行を可能にする特例公債法案の成立などを挙げており、解散を先送りするかのような発言をしています。しかし、これには納得できません。なぜなら、民主党のマニフェスト(政権公約)はすでに破綻しており、平成21年の国民の信は明らかに裏切られているからです。

 その民主党が衆院解散・総選挙をしないまま政権与党であり続けることは、中央の政治不信を助長するだけだと思います。民主党に期待を裏切られた国民も、もう我慢ならないという気持ちでいることでしょう。野田首相は今国会で消費税増税関連法案が成立したら、その直後に自ら進んで解散すべきです。

 21年の衆院選で民主党は「4年間は消費税増税はしない」とマニフェストに盛り込んでおり、消費税増税は国民の信を得ていません。その状態のまま、国会でいわば勝手に消費税を増税する法案を成立させるわけです。したがって、野田首相には国民の信を問い直すという重大な責任があると思います。

 野田首相が「自ら進んで」解散するということには、意味があります。野田首相が「国会では消費税増税法案が成立しました。しかし、これはまだ国民の信をいただいていません。したがって、私はこの国会の決定について、国民の審判を仰ぎたいと思います」と表明して、解散したら国民はどう反応するでしょうか。

 おそらく国民は「潔い」「野田首相は国民の方を向いて政治をしている」と感じ、その政治姿勢を評価することでしょう。私は野田首相の支持率は大きくアップするのではないかと思っています。

逆に、野田首相がいろいろな理屈をつけて、今国会で解散せずに先送りしたら、国民の反応は全く違うでしょう。国民の間では、消費税増税の是非は別として、民主党がマニフェストでウソをついたことへの怒りが頂点に達すると思います。そして、野田首相の政治姿勢についても「やっぱり一日でも長く首相の座にいたいんだ」と思うのではないでしょうか。

 すると、それでなくても低迷している野田内閣の支持率はさらに下落するに違いありません。さらに、政権運営の面でも小沢一郎元民主党代表らが離党したことで、参院のねじれだけでなく、衆院でも厳しいかじ取りを迫られます。結果的に野田政権はボロボロになっていくだけでしょう。

 そうなってから解散したのでは、もう遅いのです。国民は「政権運営が行き詰まったから仕方なく解散するんだ」として、もはや解散を支持することはないでしょう。結果として、野田民主党はその後の総選挙でさらに惨敗することになると思います。

 一方、野田首相が今国会で「自ら進んで」解散しなくても、社会保障・税一体改革関連法案の修正で合意した自民党や公明党が、「野田首相は『成立後は解散する』という約束を破った」と反発して、法案成立後に内閣不信任決議案を提出するかもしれません。すると、小沢氏らの「国民の生活が第一」や、民主党内でも消費税増税法案に反対票を投じた衆院議員らが同調して、可決される可能性は十分あります。

 内閣不信任案が可決されたら、憲法上の規定で首相は衆院を解散するか総辞職しなければなりません。そこで野田首相が解散したとしても、「追い込まれ解散」ですから、野田民主党はその後の総選挙で不利な状況に立たされます。

そう考えると、野田首相には解散する力はなくなるかもしれません。民主党の大方の議員はそれでなくても「一日でも長く国会議員でいたい」として早期解散に反対していますが、そういう不利な状況に追い込まれたら、余計に解散は避けたいと考えるでしょう。

 野田首相が解散したいと思っても、民主党内では解散を封じるために「野田降ろし」が起こって、総辞職に追い込まれる可能性が高いと思います。民主党議員にとってみれば、首相を変えて政権を続ければいいのですから。

 したがって、内閣不信任決議案が提出される事態になると、野田首相を待ち受けているのは「惨めな最期」だけです。仮に総辞職に追い込まれたら、野田首相は国会議員であり続けたとしても、もはや政治的には「終わった人」となってしまうでしょう。

 また、仮に内閣不信任案が可決されなくて総辞職に追い込まれなくても、9月の民主党代表選で野田首相が再選される保証は何一つありません。野田首相が今国会で解散せず先送りしたら、内閣支持率はさらに下落するでしょう。

 すると、民主党内からは「野田首相では選挙を戦えない」という声が起きて、新しい代表が選出される可能性がかなり高いのではないでしょうか。すると、野田首相を待っているのは、代表選で敗北というやはり「惨めな最期」です。

 そうしたことを考えると、野田首相にとっては今後の自分の政治活動を考えても、やるべきなのは「今国会で消費税増税法案が成立したら、その直後に解散すること」です。もし、私が野田首相の立場にいたらきっとそうするでしょう。

 それ以上に、何よりも野田首相には「党ではなく国民の方を向いて政治を行うこと」を望みます。衆院の解散権は首相にあり、これを行使するかどうかは首相一人の判断にかかっているのです。

 各種報道機関の世論調査でも、「もはや民主党に政権を担う資格はない」として、早期解散を求める声はますます強まっています。その国民の声に応えてほしいと思います。それが野田首相にできる唯一の「国民のための政治」だと考えます。