【都道府県 伝統の教え】
総面積の9割を山林が占め、林業が盛んな岐阜県東白川村の東白川中学校では、地域と一体になった植林活動を授業に取り入れ、郷土を愛する心を培い、人同士、過去から未来への時間的なつながりを感じさせる教育を行っている。
同校の植林活動は昭和24年、間伐作業を通し、先人が育ててきた山林を守ることの大切さを知ることから始まった。
現在では新1年生全員が「緑化少年団」に入団。今年も4月20日、入団式の後、ヘルメットをかぶった26人が指導を受けながら、急斜面で1人40本のヒノキの苗を植えた。のこぎりを使い、枝打ちや間伐も行い、木を育てることがいかに手間がかかり、年月が必要かを知る。ほかにも白川の源流、中流、下流の水質を調べ、上流域で暮らす自分たちが川を汚してはならないことを学び取る。
植林をしても実際に使用できるには数十年が必要だが、生徒はだれのために苗を植えるのかを考えながら作業をすることで、先祖が代々、大切にしてきた山を受け継いでいく心を育てる。作業後の振り返りで、生徒は「自分たちの子供、孫の世代のため」と自発的に書いているという。