【都道府県 伝統の教え】岐阜県
昨年の東日本大震災では、防災などの観点から、学校と地域の連携の必要性が指摘されたが、開校以来30年近く、地域とのつながりを重視してきた学校がある。
岐阜県高山市立花里小学校で行われている「はなのき活動」で、「ふれあい・奉仕・なかよし」の3本柱のうち、各学年ごとに交流する相手を決める「ふれあい」だ。
例えば1年生は近くの保育園を訪ね、園児たちに遊びを教え、2年生は老人施設のお年寄りから昔遊びを教わる。5年生は神社を訪ね、獅子舞の指導を受けるといった形で、さまざまな立場の人たちと触れ合うことで、相手の立場や気持ちに気づき、行動する心を育てるのが目的だ。
「奉仕」は、委員会活動などを通じ、社会の一員として助け合って生きる心を、「なかよし」は上級生と下級生が遊びや清掃を一緒に行うことで、相手を思いやる心や責任感を育てる。
中野彰校長は「客観的な裏付けはないが、子供たちに思いやりの心が育っている手応えを感じている」と話す。昨年だけでも、地域の方から子供たちが側溝に自転車を落としたお年寄りを助けたという連絡が2件寄せられたという。「まったくケンカがないわけではないが、伝統をしっかり引き継いでいきたい」