住んでこそ守れる「国境の離島」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【40×40】山田吉彦





今、石垣島が熱い。北朝鮮ミサイル対策として、PAC3配備に続き、石原慎太郎都知事の東京都による尖閣諸島購入発言。国境の島は、国民の安全を守る最前線であることをいや応なく認識させられたのである。

 東京都による尖閣諸島買い取りに対する島の人々の受け止め方は、さまざまだ。石原都知事の発言を受け、沖縄県石垣市は緊急市議会を開き、国に対する尖閣諸島買い取り要望の議決を行った。この議案を提出したのは、ひとりのベテラン議員である。原則論から尖閣諸島は国が買い取り、国が守るべきだと主張したのだ。

 この提案に対し、若手の議員から意見が付加された。国に買い取りを要望するとともに、東京都の購入も支援したいというのだ。これは、単に国が買い取ったのでは、尖閣諸島は現状の無人島のままで島を利用することも石垣市民が上陸することもかなわなくなるからだ。いったん、都が購入し、島の有効利用を進めてもらいたいという考えだ。

問題なのは、誰が尖閣諸島の所有者となるかではなく、島々をどう守るかということだ。先輩議員の教える原理原則を尊重しながら、行動無くしては東シナ海の安全は維持できないという若手議員の考えが光った。結局、中山義隆石垣市長は9日、都の幹部に対し、市との共同購入案を提案。都と連携を密にしてゆくことを確認した。

 ゴールデンウイークに石垣島で開かれた「どう守る、国境の離島」というテーマのセミナーに参加した。ひげの隊長こと自民党の佐藤正久参議院議員、ジャーナリストの井上和彦氏、地元の市議らとともに日本の安全保障上における国境離島の存在意義と離島の管理方法を話し合った。日本人が住み日本人が利用することでこそ、日本の島であることを対外的にも示し世界6位の広さといわれる日本の海=排他的経済水域を守ることにつながるのだ。

 セミナーの翌日、漁師の友人の家を訪れ、冷えたオリオンビールと新鮮なマグロの刺し身で歓待を受けた。東シナ海は豊穣(ほうじよう)の海である。この海の海洋環境、水産資源を大陸の国に壊されないためにも日本人の力を結集する必要があるのだ。

(東海大教授)