ミサイル防衛の課題。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






草莽崛起:皇国ノ興廃此ノ一戦在リ各員一層奮励努力セヨ。 


2012.04.18(水)桜林 美佐:プロフィール


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一国民としてお恥ずかしい話だが、もし、今回の北朝鮮ミサイル騒動の期間に、例えば大物芸能人のスキャンダルなど話題性のあるニュースが明るみになったなら、「衛星」打ち上げ報道にはこれほどまでに熱が入らなかったかもしれない。

 まともに考えれば、そもそも通過ルートにかかる沖縄の先島諸島も、まして首都圏などに被害が及ぶことは蓋然性が低いのだが、日本人の場合はこれくらい大規模な動きをしないと安全保障などについて考えるタイミングがなく、その機会を提供してくれたという意味では国民保護の啓蒙という面でそれなりの意味があったのではないだろうか。

 本来ならば、中国艦艇がわが国領海への接近を繰り返していることなど、じわじわと行われていて、こちら側も段々と慣れつつある事象の方が問題が大きいのかもしれないが、「ニュース性」や「インパクト」という点では「ミサイル打ち上げ」の方が勝っていると考えるのがメディアの心理だ。

 こうしたメディアの特質を借りて、日本の人々にもう少しまともな安全保障認識を持ってもらう、あるいは国民の現状意識を知るための観測気球になったとも言えなくもない。

MDはベストではなくベターな策

 しかし、問題はその本質まで行き着かないままこの騒動が文字通り「お祭り騒ぎ」で終わってしまうことだ。

 私自身もよく尋ねられたのは「MD(ミサイルディフェンス)って当たるんですか?」ということ。

 特に国内に配備された「PAC3」について、これまで航空自衛隊による迎撃試験では2回中2回が成功しているが、全てがお膳立てされた上で行われていることや、弾数も十分とは言えないこと。また、PAC3は長射程のものは迎撃できないとして、この存在そのものを問題視するような話が様々になされていた。

 ここで改めて確認しておきたいのは、そもそもMDはミサイルに対処するベストな方法ではないということだ。

 「PAC3は迎撃した場合に破片が飛んできて危ない」などという批判には、「ミサイル攻撃で被害を受けるのと、どちらがマシなのか?」と思ってしまうが、確かに、落ちてくるミサイルを直前で迎撃するという発想は、被害もやむなし、多少の犠牲は仕方がないというものなのである。

 国民の犠牲を出さずにすむ最もいい方法は、策源地(ミサイル発射基地)を叩くことだ。これは国会答弁でも合憲と解釈されてきている。

 1956(昭和31)年の衆議院内閣委員会で鳩山一郎内閣が「我が国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地を叩くことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」と答弁したことはよく知られている。

しかし、法制度上可能でも、わが国の政治判断に逡巡が起こることは想像に難くない。そこで、取られている策がMDだと考えた方がいい。つまり、MDはベストではなくベターな策なのだ。

 抑止力を考えれば、核に対しては核を、ミサイルに対してはミサイルを保有することが有効だが、わが国にはそれらの選択肢がないのである。

 また、日本のMD配備は米国の意向だという指摘も多い。米国が日本に対して、自国への軍事的な依存度を高めさせ、また高い買い物をさせるためにやらせているのだという。その通りかもしれない。しかし、それでは他に取り得る術があるのかどうか? である。

 このように独自のお国事情からわが国が自ら選択したものがMDであるということを、「当たる当たらない」を論じる以前に、まずは認識しなければならないだろう。

 ミサイル迎撃に至るまでのプロセスは、「探知」(発見)→「追尾」→「要撃」→「迎撃」となる。最も重要なのは「探知」、つまり、いかに見つけるかである。

 しかし、この最重要部分を日本は、米国の早期警戒衛星に頼っている。つまり米国の「目」がなければ身動きが取れないのだ。もし、その状態を卒業したいならば、日本も、2008(平成20)年に成立した宇宙基本法に基づき、安全保障分野での宇宙開発を加速させる必要があるが、遅々として進んでいない。

 MDについて課題を残すならば、まずこうした日本独特の事情を問題提起すべきだろう。

情報の大半を「もらっている」立場が明らかに

 一方、今回、計らずも北朝鮮のミサイルが沖縄上空を通過するということで、石垣島や宮古島にもPAC3などの装備や自衛官が入ったことは、日本の安全保障政策上のメルクマールと言えるのではないだろうか。

 これは自衛隊法82条の3(3項)における破壊措置命令に連動する形だったようだ。BMD統合任務部隊指揮官(航空総隊司令官)が、自衛隊法95条「武器等防護のための武器使用」に基づき、陸自による警護を防衛大臣に上申し承認されたものと、万が一、被害が生じた場合に備えて、というもの。

 派遣根拠法については整理していく必要もありそうだが、今回の行動がその端緒になれば1つの成果と言えるだろう。

 とにもかくにも、日本では(当然、北朝鮮側も)万全の準備が進められ、4月13日に「衛星」打ち上げは試みられた。しかし結果は失敗。国内ではまたぞろ、情報伝達の不備などが取り沙汰されている。

 今回の諸々の「遅れ」については、繰り返しになるが、米国との共同作戦と言っても、肝心の「目」を全面的に頼っており、日米は情報の「共有」ではなくて、日本が情報の大半を「もらっている」立場であったことが改めて明らかになった。この点こそ、今後、わが国の論点となるべきであろう。












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つぐみ恋愛相談所の橘つぐみです。ちょっと前までは「浮気は男の甲斐性だ」と言われていました。しかし、今..........≪続きを読む≫