実効ある対北追加制裁を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】拉致とミサイル 






政府は13日で期限が切れる北朝鮮に対する制裁措置の1年間延長を閣議決定した。

 北朝鮮が予告する「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルを発射した場合、追加制裁措置も検討するとしている。当たり前である。

 問題は追加措置の中身だ。現在はすべての北朝鮮船舶の入港禁止や物品の全面禁輸措置がとられている。また、報告なしで北に送金できる上限を300万円とし、北朝鮮渡航時に申告なしに持ち出せる現金の上限を10万円に規制している。

 これらの制裁措置により、北朝鮮の貨客船「万景峰号」が日本に入港できないなどのダメージを与えているものの、一方では、北への資金流出や中国経由の不正輸出が後を絶たない。

 政府の調べでは、金正日総書記が死亡した昨年12月から今年2月までに日本から北へ持ち出された現金は申告された分だけで約1億3千万円に上る。だが、「届け出ないケースもあり、実際はその数倍になる」(政府関係者)との指摘もある。申告さえすれば上限がなく、使用目的も問われない。

 政府は追加制裁として、申告なしで持ち出せる上限額の引き下げなどを検討しているようだが、実効性ある措置にすべきだ。

 北は4年前の8月、横田めぐみさんら日本人拉致被害者の再調査を約束しておきながら、これも実行していない。北に約束を履行させるためにも、圧力につながる強力な追加制裁が求められる。

米国などとの連携も重要だ。

 北朝鮮による大韓航空機爆破事件(1987年)の後、米国は北を「テロ支援国家」に指定し、マカオの金融機関で北朝鮮資金を凍結するなどの制裁措置をとってきた。しかし、ブッシュ政権末期の2008年、北のテロ支援国家指定を解除した。結果的に、北の核開発を断念させられなかった。

 北がミサイルを発射した場合、米国にその再指定を求め、金融・経済制裁で日米が共同歩調をとることも有力な方策である。

 今年は、北朝鮮が拉致を認めて謝罪した日朝首脳会談から10年の節目の年である。30道府県議会の2月定例会で、拉致問題解決に向けて全力で取り組むよう国に要望する意見書が採択された。地方からのこのような盛り上がりは異例だ。野田佳彦政権の主権国家としての対応が問われている。