北の衛星、技術的に無理 「重量100キロ」軽すぎ…
日韓専門家ら矛盾分析。
北朝鮮が4月15日の金日成(キム・イルソン)主席生誕100年に合わせ、「実用観測衛星」を打ち上げると予告したのに対し、日韓の政府関係者や専門家から「技術的に無理だ」との分析が出ている。カメラだけを積んで「観測衛星」と主張することも想定され、結局、核弾頭を搭載するための試験にすぎないとの見方が強い。
朝鮮中央通信などによると、北朝鮮は、打ち上げの意義を「農業など人民経済に必要な気象予報研究で大きな一歩を踏み出す歴史的出来事だ」と発表。
「衛星の重量は100キロで、高度500キロの軌道を回り、寿命は2年だ」とした上で、海外の専門家やメディアも招待し、発射準備を披露すると自信をみせる。
これに対し韓国政府関係者は「観測衛星は通常、先進国の技術でも1500キロを超え、100キロの大きさでは『実用』からほど遠い。核弾頭の小型化を見越した『模擬弾』の意味合いが強い」との見方を示す。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると日本の気象衛星は2トン以上。北朝鮮は「山林資源の分布と災害の程度、穀物の収穫高を判定し、気象予報と資源探査に必要な資料を収集する」としており、宇宙開発技術に詳しい日本の専門家は「これらを全て網羅しようとすれば何トンもの重量になるはずだ」と説明する。
ただJAXAによると、大学の研究に使う50キロ程度の“観測衛星”も存在する。専門家らが100キロの重量から推定するのがカメラや送信機だけを搭載するケースだ。
専門家は「高解像度でもない画像1枚を受信し、気象から収穫高まで読み取れると言い張ることは可能」と話す。
(桜井紀雄)