参議院 TVが外交防衛委員会を放映中だ。画面には防衛大臣が大写しになっている。田中が間抜けな顔で寝呆けた答弁する度に、テレビの前に陣取る男たちが笑う。
画面の田中が喋り出す。「あのあのあの、あのですね。センセイのご質問は専門的なことでして・・・・え～と、そのう、わわ私はですね、シロウトですので、また、勉強をしてですね・・・」
ししし、シロウト？なな何たる答弁なのだ！うわ、うわ、うわははははは。プーチンは豪傑笑いで飲み物を噴出し、胡錦涛は腹をよじって涙を流す。李明博 は笑いすぎてアゴを外し、金正恩は可笑しさに手足をばたばたさせて床を転げ回る。ぎゃははははは。ぐぐぐ、ぐるじい～。たたた助けてくれ。
胡錦涛が云う。「わ、わが国で軍のトップが自らシロウトだと名乗ったら即座に失脚だ」
「わが国なら処刑です」と金正恩。「しかも親族一同だ」
田中の答弁は続き、様々な事実が露見した。中期防衛計画の中身がかなり杜撰なこと。「南西諸島の動的防衛」を唱えつつ沖縄が手薄になる予算しか組んでいないこと。さらに北朝鮮のミサイルに対する迎撃部隊はソレらしい準備もしていないこと。男たちの笑いは止まらない。ぶわっははははは。うひひひひひ。
ふと真顔になったプーチンが云った。「おい、これはホントに日本の国会中継なのか？やらせ ではないのか？」
李明博 が平然とした顔で答えた。「何云うとんねん。国会中継云うたら、いっつもこんなんや。日本の政治家はアホばかりや」
胡錦涛も同調する。「特に民主党 は馬鹿の集まりだ。民主主義国家の左巻きほど御し易いものはない」
「いや、信じられん」KGB出身だけあって、プーチンは疑り深い。「こんな中継を堂々としていること自体がヘンだ。われわれ周辺諸国を油断させ、欺こうとしているのではないか」
こいつらホンマの腰抜けやで、と画面を指差す李明博 を手を制して、プーチンは語る。
「仮に防衛大臣がタナカのような間抜けだとしてもだ。自衛隊を侮るわけにはいかん。見たか。大震災発生時の規律正しく献身的な行動を。あれこそ真の軍人魂だ。見上げたものだ」
「そういえば、あれだけ過酷な環境で逃げた兵隊がひとりもいなかったらしい」そう頷いたのは胡錦涛だ。
テレビでは延々と茶番が続く。コーヒー を飲むクセがどうのこうのと、田中大臣が真顔で得意のギャグを飛ばす。とても国家が防衛問題を語るとは思えないリラックスした雰囲気だ。答弁の内容も支離滅裂で、笑いを取りたがっているとしか思えない。
画面を眺めつつ、また男たちがくすくす笑いはじめた。
プーチンがつぶやいた。「これで防衛や外交がつとめるのだから、日本には神がついているのかも知れんな」
すかざず李明博が口を挟む。「そら、神さんついてはるで」
そして、吐き捨てるように云った。
「笑いの神や」
全員が大爆笑した。