陛下、今週の国賓行事もご出席の可能性。
雅子さまに「ご体調の波」
宮内庁の小町恭士東宮大夫は16日の定例会見で、皇太子妃雅子さまの今週のご様子について「ご体調の波はあるものの、静かにお過ごしです」と述べた。
ご様子については会見の冒頭で毎週公表されているが、風邪などの病気の場合を除いては「お変わりありません」と説明することが多く、「ご体調の波」に言及するのは異例。だが、具体的なご様子については、明らかにしなかった。
また、小町氏は、3月下旬にご夫妻が皇居・御所を訪問し、天皇陛下のお見舞いをされる見通しになったと公表した。陛下のご退院後、ご夫妻でのお見舞いは初めてとなられる。
皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまは16日、小学4年の修了式を迎えられた。通学の不安が解消したことに加え、目立った体調不良もなく、3学期は1日も休まれなかったという。
陛下は11日、政府が主催する東日本大震災一周年追悼式に臨まれた。4日の退院後初めてのご公務で、宮内庁によると、陛下が皇居外で公的な活動に臨むのは、皇后さまと2月13日に東京・上野で美術展を鑑賞されて以来、ほぼ1カ月ぶりとなられた。
出席が可能かどうかは、ギリギリまで検討が続けられ、宮内庁が正式に出席の発表をしたのは2日前の9日夜だった。追悼式では陛下のご体調を勘案し、当初予定されていた40分程度の出席時間が18分に短縮された。実際の出席時間は数分オーバーしたが、陛下はしっかりとした足取りで犠牲者に黙祷(もくとう)をささげ、約5分間お言葉を述べられた。野田首相の式辞は、口を真一文字に結んだ厳しい表情で聞かれた。
宮内庁東宮職によると、皇太子ご一家も追悼式のテレビ中継を見ながら、お住まいの東宮御所で黙祷をされた。
一方、皇后さまが追悼式に和服(喪服)で臨まれたのは、心臓手術から間もない天皇陛下が壇上でバランスを崩されるなどの万一の事態があった場合に、ハイヒールを履く洋装より、草履のほうがとっさに対応しやすいという理由があったという。
宮内庁関係者が15日に明かしたものだが、皇后さまが喪服を着られること自体、珍しいようだ。宮内庁によると、皇后さまは皇太子妃だった昭和39年、ギリシャ王室の弔事に伴い、東京で行われた式典で着用されたことがあるという。また、平成11年6月18日に亡くなった実父で、日清製粉名誉会長相談役だった故正田英三郎氏の通夜でも、《黒い和服姿の皇后さまは父の霊前に玉ぐしをささげられた。》(当時の産経新聞)。
陛下は追悼式翌日の12日、宮内庁病院で検査を受けられた。13日からは、皇后さまとともに御所の庭を歩くなど、屋外でリハビリに取り組んでおり、15日には山菜のノビルを摘まれたという。召し上がったかどうかは明らかにされていないが、宮内庁の協力で扶桑社が出版した「御所のお庭」には、ノビルについて「(御所に近い)大池の周辺に植えられており、両陛下は酢みそなどの味付けで召し上がるという」と書かれている。
陛下は左胸に胸水が依然としてたまっており、右胸に続き、針で抜く治療(穿刺)を受けられる可能性があるとされるが、15日現在、宮内庁では治療の検討段階には入っていないという。
陛下は15日には御所で、皇后さまとともに、駐クウェート大使と外務省の秋元義孝儀典長から説明を受けられた。20日にクウェートのサバーハ首長が国賓として来日し、皇居で歓迎行事や宮中晩さん会などが行われるためで、皇太子さまご陪席のもと、式次第や日程を聞かれたという。追悼式と同様、直前の体調によっては、陛下が出席されることが検討されているという。
とはいえ、宮内庁では陛下のご手術後、「3月中は御所で療養を続けられる」とし、追悼式はあくまで例外的な出席-という考えを示していた。同庁の風岡典之次長は13日の定例会見で、サバーハ首長来日に関連する一連の行事について、「陛下が一部だけお出になり、ほかは皇太子殿下がお出になることもあるだろう。今の段階ではいろんな可能性がある」と述べた。
フランス・マルセイユで開かれている「第6回世界水フォーラム」の関連行事で15日、「水と災害-津波の歴史から学ぶ-」と題した皇太子さまの英語のビデオメッセージが約20分間上映された。
皇太子さまは冒頭、世界各国からのお見舞いや支援に謝意を表明した後、東日本大震災における津波被害について、被災地の写真や地図、動画などを用いて説明された。
雅子さまとともに昨年8月に見舞った岩手県大船渡市については「住み慣れた家を離れた仮設住宅での暮らしには不自由なことも多いと思われますが、自治会などの組織をつくり、住民の皆さんで力を合わせて困難なときを乗り越え、前に進んでいこうとされている姿に深い感銘を覚えました」と話された。また歴史の研究者らしく、過去の大地震や津波に関しても、歴史資料などを用いて熱心に説明された。
そして最後に「水と災害は、今や、世界の持続可能な発展のため国際社会が正面から議論すべき主要課題の一つです。皆さんとともに、私も災害の経験と教訓が世界に共有され、活用されるよう努力を続けていきたいと思います」と決意を述べられた。
宮内庁の風岡次長の13日の会見では、2日に入院先の佐々木研究所付属杏雲堂病院(東京都千代田区)で、のどの軟骨を切除する手術を受けた寛仁親王殿下が、先週半ばからスープなどの流動食を口から摂取されるようになったことも明らかにされた。
寛仁さまは1月10日にのどのがんを切除する手術を受けたが、食べ物を飲み込みづらい症状があるため、障害になっている軟骨を取り除かれた。風岡次長によると、現在はのどの通りも比較的順調だという。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮ご夫妻は10日、東京都慰霊堂(東京都墨田区)で、都内戦災並びに関東大震災遭難者の春季慰霊大法要に臨席された。12日には宮邸で、外務省国際法局長から進講を受けられた。
秋篠宮さまは12日、進化生物学研究所(東京都世田谷区)で、生き物文化誌学会事務局会議に出席された。14日、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)で、所員会議に出席後、東京大学総合研究博物館(東京都文京区)で、研究会に出席された。
秋篠宮妃紀子さまは14日、グランドハイアット東京(東京都港区)で、「第24回セーブ・ザ・チルドレン チャリティディナー」に臨まれた。
常陸宮妃華子さまは15日、松屋銀座店(東京都中央区)で、画業40年記念「黒井健 絵本原画の世界~物語との出会い~」展を鑑賞された。
寛仁さまの長女、彬子さまは10日、練馬区立練馬文化センター(東京都練馬区)で、スロバキア国立ルチニッツァ民族音楽舞踊団を鑑賞された。
高円宮妃久子さまは12日、宮邸で、駐日クウェート大使と懇談された。同日、駐日ナイジェリア大使公邸(東京都港区)で、「駐日アフリカ大使夫人の会」主催午餐(ごさん)会に出席された。
東京大空襲から67年を迎えて営まれた慰霊法要に参列される秋篠宮ご夫妻
=10日午前、東京都墨田区の東京都慰霊堂