新規に運行を開始した格安航空会社 ピーチアビエーションの運賃を聞いて驚いた。関空 -新千歳線の最安値が4780円、関空 -福岡線が3780円。ななな何と云う安値なのだ。航空会社のカルテルと行政指導によって運賃が高く設定されていた時代が長かったせいか、ものすごく安く感じる。これを契機に、企業間の価格競争はますます激しくなるだろう。消費者にとって嬉しい話だ。
価格競争が徹底すれば、いずれアメリカの国内線同様、食事や飲み物も有料化して、チェックインの荷物も個別料金になるに違いない。望みはしないが、キャビンアテンドも笑顔の素敵な綺麗どころではなくて、太った無愛想なオバさんになるかも知れない。これまでの顧客サービスは高い航空運賃を正当化する「仕掛け」に過ぎないことを、世間は知ってしまった。飛行機だって電車やバスと変わらない。目的地まで安全に早く行ければそれでいいと云う消費者は多い。おまけで高値を維持出来る時代じゃないのだ。
もっとも、デフレ 傾向が続くせいか、企業間の競争が更なる物価下落を招くと毛嫌いする向きもある。どんどん競争すると皆が貧乏する、などと真顔で述べる学者や政治家たちだ。競争があれば安価で適正なサービスが享受できるし、市場参入が多ければ消費者の選択肢が増える。それこそが豊かさだ。この事実を無視して、新自由主義はいかんと云う的外れな主張には呆れざるを得ない。
冷静に考えて、経済の活性化には自由な市場参入や競争が不可欠だ。既存企業がカルテルを組んで競争を排除したり、国営事業や公共事業ばかりになったら、非効率で一部の既得権者だけが儲かる歪んだ経済システムになってしまう。価格も含めてサービスや付加価値で企業が切磋琢磨し合い凌ぎを削ってこそ、社会は発展する。人や企業が勝ったり負けたりしながら、新しい技術や富を創造するからこそ、生活がリッチになる。
ちなみに新自由主義は低福祉や自己責任を尊重して小さな政府を推進するが、やらずぶったくりで何をしてもいいと云う話じゃない。自由放任の古典的自由主義とは一線を画し、社会保障 や公共事業と云った政府の役割も認めるからこそ、「新」自由主義なのだ。
さて、いずれにせよ、どんどん競争が進み価格が下がることはいいことだ。今、アメリカで宣伝している個人向け宇宙 旅行料金は20万ドルだ。高いようだが、企業参入が続き市場競争が進めば、数万ドル水準まで下落が見込まれている。邦貨で100万円とか200万円なら豪華クルーズよりむしろ安い。大々的な宇宙 旅行ブームが起きても不思議はない。
本格的に宇宙 旅行者が増えたら、ピーチアビエーションあたりは大気圏外地球一巡り10万円くらいの格安券を売り出すんじゃないだろうか。早くそんな日が来るといいなと思う。自由競争を否定したら、いつまでたっても、庶民は宇宙 旅行が出来やしない。