米国は今年1月、新国防戦略を発表した。今後10年間で5000億ドル(約40兆円)近い、大幅な国防費カットが打ち出され、陸軍を57万人から49万人に、海兵隊を20万人から18万人に削減するという。
また、朝鮮半島有事の際の作戦統制(指揮)権は、2015年末に米軍から韓国軍に移る。当初、今年4月の移管が予定されていたが、北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件や核実験を受けて、延期された。
オバマ大統領は「アジア太平洋は削減の犠牲にしない」と発言しているが、今後、在沖縄米海兵隊などの役割が変化することを考慮するとともに、東アジアの安全保障で、日本が果たす責任が重くなることを覚悟しなければならない。
中国の軍事的台頭は著しく、北朝鮮は金正恩体制移行後も軍事優先の姿勢を変えていない。米軍の国防費削減や再編戦略が、北朝鮮などに間違ったメッセージを送ってはならない。
こうした変化に対し、日米両国がどう協力して、どんな戦略を構築していくのかが重要だ。両国間に齟齬が出ないよう綿密な連携が必要だが、どうしても「田中直紀防衛相で大丈夫なのか」という不安が拭えない。
さて、日本教育再生機構が26日、大阪市内で開いたシンポジウムで、大阪市の橋下徹市長率いる「大阪維新の会(維新)」の幹事長でもある、大阪府の松井一郎知事と、教育再生について議論してきた。
安倍内閣では、約60年ぶりに教育基本法を改正し、教育関連3法も改正した。教育の目標には「豊かな情操と道徳心を培う」や「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」「伝統と文化の尊重・それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」と記した。
ヤル気のある優れた教員を養成・確保するとともに、指導が不適切な教員に対しては、分限処分を含めた厳正な人事管理システムを構築するようにしたのだが、政権が代わって、これらが実施されていない地域も多い。
維新が掲げる教育基本条例は、こうした閉塞状況を変えようとしている。松井知事も「教育基本条例を制定するのは、安倍内閣で教育基本法を改正したのに教育現場に民意が反映されていないからだ」と説明していた。
橋下氏や松井氏らは卓抜した発信力や影響力を持っている。その起爆力を生かして、教育再生に向けて、岩盤を砕くがごとく進んでほしい。私も国政の立場で協力する。これは政局レベルの話ではない。政策レベルの話である。
(自民党衆院議員)