【40×40】河添恵子
領事館拡大に向けた中国の動きが“フヌケ外交”で再燃しそうだ。地元住民らの猛反対で、名古屋市北区の名城住宅跡地と新潟市中央区の万代小学校跡地への領事館移転&拡大計画は暗礁に乗り上げた。が、中国がスゴスゴと引き下がるはずもなかった。昨年7月、新しく完成した北京の日本大使館を「計画になかった吹き抜けを設けた」などを理由に、中国側が「竣工(しゅんこう)検査に合格していない建物の使用は不可」と半年以上も移転を留保してきたのだ。やっぱり報復か。
そもそも、日本国の建物に中国当局の検査がなぜ必要なのか「?」だが、中国側からの「在日公館施設の建設に協力を得たい」との静かな恫喝(どうかつ)に対し、玄葉光一郎外相曰(いわ)く、「国際法に従い、国内法令の範囲内で協力する、という口上書を外務省が提出した」とか。「設計の変更届をしなかった」ことを突かれた格好ながら、“いちゃもんをつけてほしいものを得る”は中国の常套(じょうとう)手段でしょ?
近年、「走出去(海外に出ろ!)」政策を進める中国は、主要国の大使館・領事館機能の拡大に力を注いでいる。目的はロビー活動や産業スパイの強化、企業や土地買収のための情報収集の強化、われわれ日本人を監視する機能の強化などか? しかも中国社会にとって土地こそが利権、商業地であろうと水源地であろうと、ひとたび中国人の元に渡れば二度と戻ってはこない。そして環境劣化&治安悪化など腐敗の道をたどっていく。これは世界のチャイナタウンを見れば明らかなのだ。
名古屋市では有識者による〈名城住宅跡地利用を考える会〉が立ち上がり、先日、「跡地の有効活用」を考える第1回の地元集会が行われ、地元議員も多数参加。河村たかし市長が「移転をご遠慮いただきたいと中国側に言う」と会場で明言するなど盛り上がったと聞く。一方、新潟では昨年12月、中国側への5千坪の売却が判明、仙台ではパンダ外交につられたのか、中国領事館の建設計画もある。一体全体、政治はどこを向いているのか?
(ノンフィクション作家)