森林との関わり、胸に刻む中学生。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【都道府県 伝統の教え】高知県





 高知県を流れる四万十川の中流域に四万十町立昭和中学校がある。中山間地にある、全校生徒数23人の同中学が続けているのが「地域に生きる学習」。総合学習を通じて、地域の財産である森林と関わる教育だ。

 昭和中のある旧十和村はかつて「林業の村」だった。切り出された材木はイカダに組まれ、四万十川で運ばれた。だが今や林業は衰退。担い手も減った。

 そうしたなか、同中学校では「炭焼き体験」や、グループ別に分かれ道なき道を通って山頂を目指す「登山」など、生徒に森林と関わり「山の暮らし」を体験させる取り組みを地道に続けている。

 「間伐体験」もそのひとつだ。伸び放題のスギ林に生徒全員で入り、実際に間伐に挑む。切り出した材木は学習机の天板に加工され、自分の机として卒業後も使い続ける。

 山が豊かに栄えなければ、いずれ川は寂れ、海も廃れる。自然環境を守るためには人間が山の手入れを続け、生かし続けなければならない。間伐はその大切な営みのひとつだ。

 地元になじみ、学び、そして考える。卒業する生徒はほとんどが地元を離れていく。地元を去っても、ふるさとをしっかりと胸に刻んでいてほしい。そんな地元の願いを踏まえた取り組みだ。