速やかなご回復祈りたい。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】天皇陛下手術へ。





 天皇陛下が狭心症治療のため、18日に東大病院で心臓の冠動脈バイパス手術を受けられることになった。陛下のご健康は国民の等しく願うところである。手術が成功し、一日も早く回復されるようお祈りしたい。

 狭心症は心臓の筋肉に酸素や栄養を送る血管が狭くなる病気で、バイパス手術は血液を流れやすくするため、別の部位の血管を使って迂回(うかい)路を作る。日本では年間1万6千件以上行われており、一般的かつ安全性も高い心臓手術だ。

 陛下が手術を受けられるのは、平成15年1月の前立腺がん摘出手術以来だ。陛下は前立腺がん手術後に続けているホルモン療法の副作用を防ぐために軽い運動が必要で、宮内庁は「地方訪問やテニスなど日常活動がもっとでき、生活の質を向上いただけるため」に手術を選択したと説明している。

 陛下は昨年3月の東日本大震災の後、皇后陛下とともに、宮城県などの被災地や東京都、埼玉県の避難所を訪問され、被災者一人一人に声をかけて励まされた。テレビでのビデオ放映を通じても、国民に苦難を分かち合うことを直接、呼びかけられた。

 菅直人前民主党政権の指導力不足が指摘される中、陛下をはじめ皇族方の励ましが復興を目指す被災者や国民にどれだけ勇気と力を与えたか計り知れない。

 陛下は今回のバイパス手術から約3週間後の3月11日、東京で開かれる東日本大震災1年の追悼式に出席される予定になっている。2度目の手術も克服し、国民の前に再び元気な姿をお見せになることを願ってやまない。

 陛下は昨年11月にも気管支肺炎で入院された。ご負担軽減がますます重要な課題となってきた。

 今月下旬から、陛下を支える皇族の減少を防ぐため、女性皇族が結婚しても皇室を離れないようにする女性宮家創設に関する有識者からのヒアリングが始まる。

 これに関し、野田佳彦首相が13日の衆院予算委員会で旧皇族の皇籍復帰も検討する意向を初めて表明したことに注目したい。「男系で皇位継承されてきた伝統を重く受け止める」と強調し、女性宮家問題を皇位継承問題と切り離す方針を再確認したのは当然だ。

 旧皇族の皇籍復帰は陛下のご負担軽減だけでなく、将来の皇位の安定的な継承にもつながる。野田首相の指導力に期待したい。