天皇陛下、18日に心臓バイパス手術をお受けに。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










狭窄がやや進行。





 宮内庁は12日、天皇陛下が11日に東京大学医学部付属病院(東京都文京区)で受けた心臓の冠動脈造影検査の結果、昨年見つかった冠動脈の狭窄(きょうさく)に進行が見られたため、今月18日に同病院で心臓のバイパス手術を受けられると発表した。

 宮内庁によると、陛下は11日午前11時25分から30分間、左手首からカテーテル(細い管)を挿入して冠動脈の血流などを調べる検査を受けられた。

 その結果、1年前に同様の検査で見つかった狭窄がやや進行しており、専門医が協議した結果、生活のさらなる向上のため、バイパス手術が適切だと判断したという。天皇、皇后両陛下も了承された。

 手術は東大と順天堂大の合同チームが実施。病変は2カ所あるため、2本の冠動脈にバイパス手術を行うという。

 宮内庁の金沢一郎医務主管は「手術例が多く、万全な態勢で臨めば、それほど心配な手術ではない。テニスなどのご運動を行うことも可能になる」と説明した。




【天皇陛下・検査結果会見】



病変が進行、軽い運動負荷で心虚血に。




宮内庁で12日午後に開かれた天皇陛下の検査結果の記者会見は以下の通り


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 --昨年の検査結果との比較でどのような変化が認められたのか

 「(検査を担当した東大医学部付属病院・循環器内科の永井良三教授)陛下は左冠動脈の回旋枝(かいせんし=血管の名称)というところに病変をもっておられて、そこがやや進行したかという印象。左前下行枝(かこうし=血管の名称)にも病変があるが、これは余り変わっていません。ただ見方によっては進行したという人も。あまり変わってない、部分的には良くなったというところもみられました」

 --ややとか、変わっていないとか、漠然としているが、具体的には

 「左冠動脈の回旋枝は確かに9割近い、75~90%近い狭窄(きょうさく)がありましたけれども、そこがやや進行したということ」

 --もう一つの、左前下行枝が変わっていないというのは、パーセンテージも変わりがないのか

 「そうですね」

 --右冠動脈はどうですか

 「問題ない」

--手術というと、病変の数や場所を念頭に置かれたと思うが、一番の根拠は

 「狭いから広げるとか、バイパスをするということでは必ずしもなくて、全体的な症状や心虚血の表れ方など、全体的なことを判断しなければならない。この1年間拝見していて、まずは薬物療法で様子を拝見させていただいたんですが、最近、軽い症状、ちょっと疑わしい症状が前より軽い動作でお出になったりとか、心電図で、こないだも、ピンポン(卓球)のときにちょっと出たりということで、若干、心虚血にいたる敷居が少し低くなった。軽い負荷でお出になるということは、QOL(生活の質)を下げているし、陛下の場合、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)もあって運動リハビリをされていますので、そういうことにも障害になる。そういうことを総合しますと、このまま薬物療法でも不可能ではないが、この際、手術という選択もあるということで、決めさせていただきました」

 --もう一つの選択肢として、カテーテルによるステント(網状の筒)がある。こちらではなく、開胸手術によるバイパスを選択するという判断に至った経緯は

 「そういうことも考えるが、狭いといっても、場所とか形とかを考慮しないといけない。左冠動脈の左回旋枝の狭いところの場所、形を総合すると、そこは手をつけないほうがいいというのが専門医の判断になりました。これは去年もそういう判断で、そこで、まず薬物療法で様子をみて、少し進行した印象があるということと、症状が少しお出になっているということを総合して決めたということです」

 --手術を行うにあたっての診断というのは

 「冠動脈狭窄です。心虚血は前から同じです」

--左前下行枝の病変は変わっていないというのは、数値から変わってないのか

 「造影検査だけなので、定量的にいうことはできませんが。そこだけで決めるわけではなくて、全体的に陛下の活動度がだいぶ落ちておられて、薬もだんだん増えていく可能性もありますし、もちろん左冠動脈の回旋枝の領域が狭いが、万一ということもありますので、そういうことを全部総合しますと、安全策をしっかり講じた上でQOLや活動度を上げていく。生活の今までされていたことは維持していただきますし、同時にもっと運動して頂けるような態勢をつくろうということです」=(2)に続く


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 冠動脈バイパス手術=老化などで冠動脈の血管内部が狭くなったり、詰まったりした箇所を迂回(うかい)するように、患者本人の血管をつないでバイパスをつくり、血液がきちんと流れるようにする手術。全身麻酔をかけ、胸部を切開して行われる。血管の狭くなった部位が複数ある場合や、血管を人工的に広げる網状の筒(ステント)が入りにくいときの措置。バイパス用の血管は患者本人の腕や胸の動脈を移植することが多い。一般的には手術後3週間から1カ月程度の入院が必要とされる。