【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】
『週刊新潮』(2月9日号)のトップだが、簡潔で強いタイトルだ。
『新潮』のタイトルと言えば、いつもカギカッコだらけ、いったい何のためにここにカギカッコが必要なのかと思うことが多い。タイトルは簡潔を旨とすべし。
が、強いタイトルの割に内容は特に新味ナシ。ワイド形式の5本中2本が前号、前々号の続報。新しいネタはないのか。
先々週も書いたが、このところ各誌連続して地震の大特集。
今週も『新潮』が左柱で「4年以内に70%!『東京直下型大地震』死中の活」とやれば、『週刊文春』(2月9日号)は右トップで告発シミュレーション「政府の想定は甘すぎる M8M9大地震 日本破滅 最悪の1週間はこうなる!」。
『週刊現代』(2/11)は12ページぶち抜き大特集「引っ越しますか? 『確率7割』もう避けられない東京直下型大地震」。
これだけ煽(あお)られると不安になる人も多いのではないか。
が、『新潮』には東大大学院教授で地震学が専門のロバート・ゲラー氏のこんな意見も。
まず東大地震研究所、平田直教授の「東京直下型が4年以内に起こる確率70%」について。〈「出鱈目(でたらめ)です。あの数値には何の意味もありません」〉
なぜか?
〈平田教授のチームが主に試算に活用したのは、M(マグニチュード)が1上がると発生確率は10分の1になるという地震学の経験則「グーテンベルグ・リヒターの式」。しかし、
「平田さんらがサンプルを取った期間は昨年3月11日から9月10日までの6カ月です。当たり前ですが、この半年間、余震の数が極めて多かった。(中略)当然、M7の地震が発生する確率も高くなります。彼らの試算は極めて曖昧な数値の上に立脚している」〉
ゲラー教授は「地震予知は不可能」「いたずらに危機感を煽り、(中略)国から予算を騙(だま)し取っているようなもの」とまで言うのだが。
平田直教授の反論を聞きたいものだ。(『WiLL』編集長)