【40×40】山田吉彦
ホルムズ海峡が、危機的状況である。不透明な核開発を続けるイランへの制裁として、EUはイランからの輸入禁止を決定した。イランの最大石油輸出国である日本も同調する意向だ。イランは、その対抗措置としてホルムズ海峡の封鎖をちらつかせている。この海峡は、ペルシャ湾の入り口にあり世界有数の重要航路である。幅30キロメートルほどの海峡を、原油を満載にしたタンカーが絶え間なく航行し、日本人が使う石油の80%もこの海峡を通過している。
米国のパネッタ国防長官は、「超えてはいけない一線」として、イランによるホルムズ海峡の封鎖に警告を発するとともに、アラビア湾に2隻の航空母艦を配置した。狭い海峡を封鎖することは、イランにとって難しいことではない。そして最悪の場合、戦争に発展する可能性も大きく、追い詰められたイランが海峡内に機雷を敷設することも考えられる。この場合、イランのダメージも大きいが、欧米諸国への影響は計り知れない。そして、最も被害を受けるのは日本であり、オイルショックの再来となる。
アラブ首長国連邦は、ホルムズ海峡を迂回(うかい)しオマーン湾沿岸に直接原油を送るパイプライン工事を進めているが、完成は6月頃になる見込みだ。さらに、この海峡は液化天然ガスの輸送路でもある。既にWTI(米テキサス州を中心に産出される)原油先物価格は、1バレルあたり100ドルの水準まで上昇しており、日本経済への影響は必至だ。原油価格の高騰は、東日本大震災後、原子力発電が停滞している日本にとり痛手となる。
韓国・朝鮮日報によると、日本と同様に原油の大半を中東からの輸入に頼る韓国は、長期にわたりホルムズ海峡が封鎖された場合、物価が7・1%上昇すると予測している。そのため、韓国政府は段階的な危機管理体制をすでに構築した。
新たな船出をした野田佳彦改造内閣は、ホルムズ海峡有事における影響を分析し、即時に経済施策と原油輸送の航行安全施策を作る必要がある。合わせて、日本の生命線であるオイルルートの防衛施策も不可欠だ。就任早々の田中直紀防衛相は、その力量を試されることになる。
(東海大教授)
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田中直紀は終わっとる・・・。┐( ̄ヘ ̄)┌