【外信コラム】ソウルからヨボセヨ(もしもし)
ソウルの在韓日本大使館に火炎瓶が投げ込まれた事件で投げ込まれた火炎瓶の数をめぐり、日韓の受け止め方の違いが話題になっている。東京の各国公館の厳重な警備態勢を基準にする日本側はなぜ4本も投げられたのか不思議でならず、韓国側の不手際と認識している。対して韓国側は火炎瓶を“4本に抑えた”と胸を張る。
男は犯行動機として「母方の祖母が韓国人で従軍慰安婦として旧日本軍に徴用された」「日韓首脳会談で李明博大統領から慰安婦問題の解決を促された野田佳彦首相の発言に誠意がなく腹が立った」「曽祖父は反日活動家で西大門刑務所で拷問死した」-など、絵に描いたような反日エピソードを繰り出した。
男の親族関係についてはまだ裏付けが済んでいない。だが、警察の記者会見で犯行動機として発表され報道された。結果的に「過去を清算しない日本」というメッセージが上書きされた。
日本大使館の目の前には昨年12月、元慰安婦を支援する反日団体が記念碑を建てた。韓国政府はこれを放置し、在韓日本公館の尊厳を守る意思がないことを示したが、反日となると何でもありの韓国では当然だった。火炎瓶を“わずか4本”と考える背景にもまったく同じ思考回路が働いているのだろう。
(加藤達也)